東京証券取引所で11月1日午前、システム障害が起き、全銘柄の株式売買ができなくなった。東証によると障害の原因は、売買注文を受け付ける富士通製システムのプログラムミスだった。
証券会社などから売買注文を受け付けるシステムで朝から障害が発生。東証1部、2部、マザーズ上場株式と、不動産投資信託(REIT)、転換社債型新株予約権付社債(CB)など全2520銘柄について、午前9時からの立会取引を一時停止。午後1時30分に復旧・再開した(関連記事参照)。
東証で株式の全銘柄が取引停止になったのは初。 東証のシステムを利用している福岡証券取引所と札幌証券取引所でも一時、株式とCBの立会取引を停止した。
東証は10月8〜10日の連休中に、注文処理能力を1日当たり620万件から750万件に増やすシステム増強を行った。その際新たに導入したソフトが、毎月末に自動で行われるデータ整理にうまく対応できなかったことが障害の原因という。
東証のシステムは毎月末、データ格納領域の空き部分を整理・統合し、各データの格納位置を最適化する処理を自動で行う。10月末の自動処理の際、証券会社のコードなどを記録したデータの格納位置が変わったが、新ソフトがデータの移動先を特定できず、障害が発生したという。
ソフトを構築したのは富士通だが、稼働テストや運用チェックは富士通と東証それぞれで行っている。東証の天野富夫常務は「今回の条件はテスト時に想定していなかった」と話し、「当然に想定すべきだったかどうかを含め、原因を詳しく究明したい」とした。また、責任の所在については「富士通との契約内容をもう一度見直した上で、考えたい」とした。
東証のシステムは、ハードを二重化してバックアップ体制を整えているが、ソフトは富士通に委託して構築した独自仕様品。「ソフトのバックアップを整えることは、現実的には不可能」(天野富夫常務取締役)。今後はテスト態勢を見直し、チェックを厳重にするなどして障害を防ぐとした。
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