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マクドナルドと無線LANのいい関係――日本テレコム

» 2005年12月01日 15時24分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 12月1日から全国のマクドナルド2600店舗に、日本テレコムの公衆無線LANサービス「BBモバイルポイント」が導入された。店舗ネットワークの空き帯域を利用したサービスで、店舗がすいている時間帯にビジネスマンを呼び込むツールになると、担当者は期待する。

photo 日本テレコム無線LAN事業戦略室の中村圭祐室長(左)と、同社インターネット・データ事業本部インターネット事業部の安川新一郎事業部長

 マクドナルドの顧客の中心は親子連れや高校生だが、無線LANのユーザー層の中心はビジネスマン。既存の顧客層よりも財布に余裕があり、1人あたりの売上高は高まるだろうと、日本テレコムのインターネット・データ事業本部インターネット事業部の安川新一郎事業部長は期待する。

 ビジネスマンは仕事の合間のメールチェックなどに無線LANを利用するため、昼のピーク時だけでなく、午前中や夕方など比較的すいている時間帯にも来てもらえる上、それほど長居せず帰ってくれ、回転率も高まる。「実験で導入した店舗の売上高は数%高まった」(安川事業部長)

 プロモーションを通じて、マクドナルド=モバイルポイントというイメージを定着させていきたい考えだ。「アクセスポイントが数千あっても、どこにあるか分からないのでは意味がない」と同社無線LAN事業戦略室の中村圭祐室長は話し、マクドナルドに行けば必ずある、という安心感を売りにしたいという。

 マクドナルドへの導入で、BBモバイルポイントのアクセスポイント数は従来の約4倍、3200に増え、競合他社に劣らない数になった。回線はISPにホールセールしているため、グループのYahoo!BBやODNに加え、@niftyやDION、DTIなどでも利用できる。店舗からの引き合いは強まっており、マクドナルドのように全国規模で展開するチェーン店への新規導入も近々発表できそうという。

面展開は時期尚早

 ライブドアが行っているような、アクセスポイントの面展開は行わない。IEEE 802.11a/b/gは電波到達範囲が狭く、広範囲だと通信が途切れやすい上、電波干渉の問題もある。「面展開を一度宣言すると、少しでも通信が途切れれば信用を失ってしまう」(安川事業部長)

 「モバイルとノマディック(遊牧民的)を分けて考える必要がある」と、安川事業部長は指摘する。モバイルノートPCなど、モバイル対応のネット端末利用者が増えたとはいえ、実際に移動しながら操作する人は少ない。移動中途切れずに利用できるAPはまだ必要な段階には入っていないと考える。

 ソフトバンクが携帯電話への参入を決め、携帯電話端末での無線LAN利用にも注目が集まる。「あらゆる可能性は否定しない」(中村室長)としながらも、具体的な事業展開は未定とした。

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