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iPod nanoからノートPCへ――フラッシュメモリの採用はPCにも拡大?(2/3 ページ)

» 2005年12月08日 17時08分 公開
[John G. Spooner,eWEEK]
eWEEK

 Samsungは今年5月、ノートPCのHDDの設置面積に収まり、最大16Gバイトのストレージ容量を持つフラッシュメモリベースのドライブを投入する計画を発表した。

 同社によれば、そうしたフラッシュドライブの1つは、最高8Gバイトのストレージ容量を提供し、1.8インチのノートPC用HDDと同じスペースに収まる。また別のモデルは、2.5インチのHDDサイズに対応し、最大16Gバイトまで保存できる。

 「最初は比較的少ない容量となるだろう。近い将来、60Gバイトや80GバイトのHDDがフラッシュメモリに取って代わられるようなことにはならないはずだ。価格の隔たりが大きすぎる」とバーネットソン氏。

 その代わり、フラッシュベースのドライブはデータストレージ容量が少なめの小型ノートPCに搭載されるようになり、買い手も、重量が軽くて小型なモデルであれば、料金が割高でも喜んで購入することになるだろう、と同氏は語っている。

 フラッシュメモリにとっては今後、コストが大きな役割を果たすことになりそうだ。Intelのフラッシュ製品グループのCTO(最高技術責任者)エド・ドラー氏は次のように語っている。「データの保存では、とにかくコストが問題になる。問題はコストだけだ。ほかの要素は何もない。近い将来、不揮発性メモリが60GバイトのHDDに取って代わるとは思わない。そんなことにはならないだろう」

 PCメーカーは常に、所定の機能に掛かるコストと、その機能が顧客にもたらすメリットとを比較考量するものだ。PCメーカー各社は、フラッシュメモリへの移行はノートPCのスリム化に役立つが、その一方で、フラッシュはメガバイト当たりの価格が高いため、コストの引き上げにもつながる、との考えで一致している。

 Gatewayで製品開発を担当する副社長のゲイリー・エルゼッサー氏は、次のように語っている。「だから、今の段階ではまだ、日常のPCにとってはフラッシュメモリは答えではないのだろう。顧客に“それならば喜んでお金を払おう”と言わしめるほど十分に価値ある変化をもたらすのかどうか、まだ確信が持てない。顧客に必要とされているのでなければ、市場では割高の価格は受け入れられないだろう。まだその段階ではない」

 ThinkPadのメーカーであるLenovo GroupのThink製品管理担当ディレクターで、著名なエンジニアのマーク・コーエン氏は次のように語っている。「エンドユーザーにもたらされるメリットは、明確である必要がある。システムにコストを追加するのであれば、同時にメリットも確実に追加しなければならない」

 「近い将来に、フラッシュとHDDの採用のバランスを変えるような劇的な何かが起こるとは思わない」と同氏。

 フラッシュメモリは価格が高いため、完全にフラッシュをベースとするドライブの採用が広まるのは少なくともまだ数年は先になる、との見方には、Samsungのバーネットソン氏でさえ同意している。

 「消費者が望むような価格ポイントに達するには時間がかかる。HDDの価格の50%の範囲まで下がれば、PC向けにも説得力のある提案をできるだろう」と同氏。

 だが一部の分野では、既にフラッシュメモリの人気が高まっている。例えば、一部の音楽プレーヤーでは、フラッシュメモリがHDDに取って代わっている。かつては、低価格のプレーヤーに限定されていたが、Apple Computerは今年9月に投入したiPod nanoプレーヤーにフラッシュメモリを採用している。

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