指紋認証や虹彩認証を欺くための技術はSFの世界だけではなくなった。しかし、本物の眼球や指を被認証者から奪うような方法でない、もっと手軽なやり方が可能だということが判明した。
米クラークソン大学のステファニー・C・シュカーズ準教授は、小麦粉製の色粘土やゼラチンといったものでも認証システムをごまかすことが可能だということを実証した。同氏の研究は、全米科学財団と米国土安全保障省、米国防総省が資金を提供したもの。クラークソン大学のほか、ウェストバージニア大学、ミシガン州立大学、セントローレンス大学、ピッツバーグ大学の研究者が参加している。
指紋認証のスキャン用デバイスは、光学カメラで指紋部分を撮影し、コンピュータに取り込むような基本的な技術を使うのが一般的だ。この方法による認証の脆弱性を実証するために、シュカーズ氏は、歯科用の素材を使って生体の指紋を採取し、色粘土により型を作った。死体の指もテストに使用した。60以上の偽指紋を用いた実験で、90%以上が誤った認証結果を出した。つまり、生体の指紋と偽の指紋を区別することができなかったというわけだ。
シュカーズ氏らは生体特有のパターンを認識する技術と組み合わせることにより、誤認識を減らす仮説を立てた。生体は発汗するが、死体や偽の素材は汗をかかない。これを認識するアルゴリズムと組み合わせることで、誤認識率を10%未満にとどめることが可能だという。
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