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コンテンツクリエイターとユーザーの「大国」に――知財戦略本部提言

» 2006年02月22日 16時54分 公開
[ITmedia]

 政府の知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会はこのほど、デジタルコンテンツ振興に関する提言を決めた。「ユーザー大国」「クリエイター大国」「ビジネス大国」の実現に向け、IPマルチキャスト放送に向けた著作権法の改正や、ユーザーの視点を盛り込んだコピープロテクト技術の導入、クリエイターに適切な利益を配分できる仕組み作りなどを提案している。6月にまとめる「知的財産推進計画2006」に反映させる。

IPマルチキャスト放送普及へ、著作権法改正も

 ユーザーが多様なメディア・価格のコンテンツを楽しめるよう、コンテンツの出口を増やす。IPマルチキャスト放送の著作権法上の取り扱いを明確化し、法改正を含めた再検討を行うことで、ネット上でのコンテンツ流通を促進する。通信企業によって仕様が異なるSTB(セットトップボックス)の標準化も検討する。

 音楽コンテンツの価格柔軟化に向け、CD再販価格制度の見直しを検討する。iPodへの上乗せが議論された私的録画・録音保証金制度の抜本的見直しも提言。2007年度中に具体的結論を得るとしている。

コピープロテクトにユーザー視点を

 コピーワンスなど放送のコピープロテクト技術は、ユーザーやクリエイター、メーカーなど関係者の視点を盛り込んだ見直しを促進する。これまでの技術は、使い勝手が十分に配慮されていなかったり、クリエイターの利益が確保できず、コンテンツビジネスの拡大につながらなかったとし、バランスの取れたシステムの策定を支援する。

「クリエイター大国」へ

 コンテンツ業界の契約慣行は非公正で、クリエイターや制作会社に不利との指摘があるため、公正な仕組み作りを検討する。コンテンツの売り上げに応じて追加報酬が得られる仕組みの導入や、クリエイターの組織化、著作権を円滑に処理できる仕組み作りなどを促進する。

 制作会社が市場から制作資金を調達しやすくする法整備などを進め、コンテンツ作りの環境を整える。

人材育成や国際化も

 人材育成も進める。クリエイターや、コンテンツに強い法律家、コンテンツをビジネスにつなげるプロデューサーなどを、大学や産業界が協力して育てる。関連する新技術の開発も、産学で促進する。

 コンテンツの国際化も進める。国際共同制作などで、海外でのコンテンツ販売を促進するほか、外国人クリエイターの受け入れも進める。コンテンツ関連のイベントを一定期間に集約した「ジャパン・クリエイティブフェスタ」創設を検討するなど、コンテンツの発信の場も整備する。

 アニメや漫画、ゲームなどのアーカイブ化や再利用を推進する。アーカイブ化に向けた技術開発や、アーカイブを手軽に検索できるポータルサイト構築の取り組みも支援する。

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