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「Ultra-Mobile PC」に居場所はあるか?(1/2 ページ)

» 2006年03月10日 18時20分 公開
[Eric Lundquist,eWEEK]
eWEEK

 MicrosoftのUltra-Mobile PCプロジェクト「Origami」に関するニュースが米カリフォルニア州サンフランシスコからリークされた翌日、独ハノーバーで開幕したCeBITではこれがもっぱらの話題となっていた。この発表のためにMicrosoft、Intel、Samsungの3社がそれぞれ幹部陣をハノーバーに送り込んだことから、このシステムが世界をどう変革するかについて明確な構想が披露されるものと期待した――しかしそのような構想を聞くことはできなかった。

 わたしが最初にOrigamiに関する説明を受けたのは、IntelのUltra-Mobile PCマーケティング担当ディレクター、ブラッド・グラフ氏による公式記者会見前のブリーフィングのときだった。米国から一晩かけて飛行機で運ばれてきたばかりのUltra-Mobile PCが披露された。

 まず、Intelの近くでこれを「Origami」と呼んではいけない。OrigamiはあくまでもMicrosoftによる名称だ。では何と呼べばいいのだろう?「これはUltra-Mobile PCという新しいカテゴリーのデバイスだ。ノートPCと携帯電話の中間に位置する新たな用途を提示するモデルとなる」とグラフ氏は語った。

 同氏は、「真のインターネット」へのアクセスという大きなメリットを持つ新たな製品カテゴリーについて、さらに詳しく説明した。ここで言う「真のインターネット」とは、携帯電話用の軽量ブラウザではなくデスクトップやノートPC上と同じブラウザ体験を指す。

 Intelの記者会見では、副社長兼EMEA(欧州、中近東、アフリカ)地区ジェネラルマネジャー(わたしとしては同氏に「CeBIT参加者最長役職名賞」をあげたい)クリスチャン・モラレス氏がUltra-Mobile PC(UMPC)――やれやれ、また新しい略称だ――について触れたのは、会見半ばごろだった。

 IntelのViiVマルチメディアプラットフォームのセールスポイントや、ここ10年間貫いてきた「スピード至上主義」に取って代わる「省電力」に向けた新たな熱意も語られたこの会見で、モラレス氏は、UMPCをノートPCとハンドヘルドデバイスの間に位置する新しいカテゴリーとして紹介した。

 わたしが会見から受けた印象を述べてみる。

新しいカテゴリーに必要なのは

 わたしは常々、新カテゴリーというものに懐疑的だ。ハンドヘルドがどんどん大きくなり、性能が強化される一方で、ノートPCの小型化が進み、バッテリー寿命も伸びつつあるこの時期、UMPCのような新カテゴリーが入る余裕はあまりないと感じる。かつてタブレットPCも新しいカテゴリーとして登場したが、今のところは期待はずれに終わっている。Itaniumも新カテゴリーとうたわれたが、入る隙がなかった。UMPC発表企業は、CeBITで披露したUMPCが第1世代であることを認めており、その傍らでSamsungが8Gバイトの携帯電話を発表した。UMPCというカテゴリーには多大な資金(これはMicrosoftとIntelが得意とするところ)と多くの革新――これについては両企業とも最近力不足だ――が必要だろう。

サプライヤーは?

 記者会見では、サプライヤーとしてSamung、Founder、ASUSの3社が発表された。いいだろう、Samsungは誰もが知っている企業だ。Founder Electronicsは中国を拠点とする大規模なOEM企業。ASUSも数百万枚のマザーボードを出荷していることで有名なOEM企業だ。

 3社とももちろん優良企業なのだが、Dellがいない。HPは? 東芝は? Intel幹部陣によれば、向こう2〜3四半期中にさらなる詳細が明らかにされるようだが、主要企業がそれぞれのブランドでシステムを出荷し始めない限り、新しい市場セグメントは創出されない。

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