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ひろゆき氏「市民メディアはマスコミに勝てない」(1/2 ページ)

» 2006年03月13日 12時04分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「市民記者」によるネット新聞がここ最近、脚光を浴びている。新聞社などの報道機関に所属する職業記者と異なり、広く一般から募った記者が執筆した記事を掲載するスタイルが特徴で、「JANJAN」や「livedoor PJニュース」などが存在感を高めており、韓国の市民記者新聞「Ohmynews」も日本進出を決めた。

 一方で、簡単に記事を公開できるブログの普及が進み、国内最大規模の匿名掲示板「2ちゃんねる」(2ch)も健在だ。あえて「市民記者」をうたわなくても、誰でも手軽に情報発信する環境は整った。実際にブログを活用して活動するジャーナリストも登場してきている(関連記事参照)

 ブログ時代の「市民メディア」の役割とは――このほど都内で開かれたJANJAN市民記者交流会で、編集委員や市民記者が議論を交わした。ひろゆき氏こと2ちゃんねる管理人・西村博之さんも遅れて参加。「市民記者は構造的にマスコミに勝てない」「ブログや2chのリンク集で十分」などと率直に語り、JANJANの市民記者や編集者に衝撃を与えた。

photo パネリストは、左から武蔵大学講師でJANJAN編集委員の松本恭幸さん、元沖縄タイムズ記者でJANJAN市民記者の比嘉康文さん、フリーライターでJANJAN市民記者の山本ケイさん、西村博之さん、元TBSキャスターで市民メディアアドバイザーの下村健一さん、市民メディア「ツカサネット新聞」元編集長の木佐芳男さん、JANJAN編集委員の須田春海さん

 JANJANは2002年にスタートしたネット新聞。マスメディアのフィルターを通した二次的な情報ではなく、事件の当事者自らが発言するメディアを目指してきた。

 記者登録すれば、誰でも実名かペンネームで記事を書ける。記事は編集部で編集し、事実確認や文章の校正などを行ってから掲載する。原稿料は支払っていない。

 現在の月間ページビュー(PV)は約400万。登録記者数は約3000人で、編集委員は24人。収益は広告でまかなっているという。

 編集委員の須田春海さんは「ブログが出てきて個人が自分でメディアを持ち、Google検索で欲しい情報も得られる今、我々は何をすればいいのか」と問題を提起する。投稿記事を先にブログに公開する市民記者もおり、対応に苦慮しているという。

 また、市民記者の投稿記事は、マスコミが流した情報に関連する二次的な情報が多く、当事者発信メディアになり切れていないことも悩みだ。

「市民メディアはマスコミに勝てない」

 JANJANへのアドバイスを求められたひろゆき氏は、投稿に記者登録が必要なことや、編集者の手を入れて記事のクオリティを高めていることで、投稿へのハードルが高くなっていると指摘。当事者が参加しにくくなり、マスコミ的にならざるを得ないと話す。

photo ひろゆき氏

 「2chに当事者が多く、マスコミに少ないのは、単純に数の問題。ある新聞の記者が1000人いるとして、2chのユニークユーザーは1000万人。参加者が当事者である可能性は高くなる」(ひろゆき氏)

 「JANJANがハードルの高さを存在価値とするなら、マスメディア側にいくしかない。しかしマスメディアには、取材費用をもらえ、毎日物を調べているだけでご飯を食べられる人がいる。市民メディアはそうではなく、兼業の人が多いから、市民メディアは構造的にマスメディアに勝てない。ならばやらないほうがいいと思う」(ひろゆき氏)

 当事者が必ずしも情報発信したがらない、という問題もある。「例えば事故を起こした人は、わざわざネットに情報発信するより、慰謝料でおいしいもの食べた方がいい」(ひろゆき氏)

 それでも当事者による発信メディアが必要なら、「2chやブログのリンク集でいい」とひろゆき氏は言う。「2chやブログが既にネット上にある。その中から編集者が面白い記事を適当にピックアップして載せればいい」(ひろゆき氏)

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