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Vistaは延期で良かったんだ

» 2006年03月23日 16時32分 公開
[David Coursey,eWEEK]
eWEEK

 Windows責任者ジム・オールチン氏は3月21日に「楽しく」カラス料理のランチを食し(編集部注:「自身の誤りを認める」という意味)、Windows Vistaの最も重要なバージョンが、最も重要な期限に間に合わないと発表した――生涯このポストにいるための発表でないことは確かだ。

 そうなんだ、バージニア。クリスマスツリーの下にWindows Vistaが置かれることはないんだ――もちろん、そのツリーがオフィスになければの話だけれど。

 あるいは、クリスマスにバージニアをがっかりさせないこともできるだろう。わたしにはすぐにそのアイデアが思いつく。まずは次のニュースを見てほしい。

 オールチン氏はマスコミに、Vistaのコンシューマー版が2007年1月までは出荷されず、年末商戦の購入客を逃してしまうことになると話した(3月22日の記事参照)

 しかしビジネス版は11月に出荷される。もっとも、誰かがそれに注目するかどうかはまだ分からないが。

 Microsoftは企業よりもコンシューマーに新しいOSを押しつける方がずっとうまい。

 皮肉屋な人なら、ビジネス版をすぐに買う企業はほとんどないため、コンシューマーがしばらくの間Vistaの「実験台」になった後で、11月だろうと1月だろうと、その後にリリースされようと大した問題じゃないと思うかもしれない。

 重箱の隅をつつくようだが、また延期されない限りは、11月にビジネス版を出荷することで、Microsoftは「2006年内のリリース」という公約を果たせるという点は指摘しておくべきだろう。

 この公約を果たせば、Microsoftは、試合には負けてもギャンブラーが言う「スプレッド」(試合の得点差に賭ける方式)には勝つフットボールチームと同じになる。

 このフットボールチームのように、Microsoftの「勝利」はテクニカルな勝利になる。しかし現実に人々が覚えているのは、実際に負けたことだ。

 オールチン氏は12月に引退の日を定めていた。それまでに最新のOSが誕生すると予想してのことだ。同氏は21日に、プロジェクトを最期まで見届けるためにとどまると発表した。

 多くの人はVistaの延期に関してMicrosoft全体、特にオールチン氏をやり玉に挙げるだろう。

 しかし、単に予定通りに登場するOSよりも、期待通りの品質、互換性、性能、セキュリティを満たすOSの方が良いのではないだろうか?

 皆さんは前者のケースとして、わたしたちがあのとんでもないWindows Meにいかにして出くわしたかを思い出すだろう。分別のある人なら、二度とあんな事態が起きることを望まないはずだ。

 わたしたちは新しいOSを必要としているのではない。改良されたOSを必要としているのだ。

 Windows XPは優れたOSだ。XPから準備のできていないOSにアップグレードする意味はない。

 オールチン氏は、VistaでこれまでのどのMicrosoftのOSよりも高い水準を達成しつつある。もしもコンシューマー版Vistaを確実に年末商戦向けに出荷しなければならないのなら、それは追加の機能や変更を初期のサービスパックに盛り込む形で可能だろう。

 以前のコラムで、わたしはコンシューマー版Vistaは年末商戦に間に合うだろうが、ビジネス版は登場してから1年間は採用されないのではないかとの疑問を呈した。当時のわたしはそう思っていたのだ。

 それでも、わたしはオールチン氏には、準備が整わないままVistaを出荷するよりも、延期を発表してもらう方がずっといいと思う。これは弱さや失敗を示すものではなく、わたしにとっては強さの印だ。

 たとえ延期されても、わたしがVistaのβ版で目にしてきたものは待つに値する。

 わたしのホリデーシーズンの「救済」計画について言えば、もしも11月に「ビジネス版」Vistaを搭載して出荷される最初のPCに、「コンシューマー版」Vistaへの無償アップグレードが付いてきたらどうだろうか?

 わたしとしては、公式には何も発表されていないけれども、「今買えば無料アップグレード付き」の製品がたくさん出てくると思う。だからクリスマスツリーの下にはVistaが置いてあるかもしれない。そうなることを期待しよう。

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