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Nature誌、「Wikipediaの記事は取り下げない」

» 2006年03月31日 08時03分 公開
[ITmedia]

 Nature誌が、Wikipediaの精度をめぐる記事に対するEncyclopedia Britannicaの反論を受け、回答書を公表した。

 Britannicaは、「Wikipediaとブリタニカ百科事典の精度は互角」とするNature誌の記事に異議を唱え、記事の取り下げを要求していた(3月24日の記事参照)

 Britannicaは、Nature誌が調査した項目の中にはブリタニカ百科事典ではなく「Britannica Book of the Year」から抜き出したものがあったこと、同事典の項目全体ではなく一部のみを取り出してWikipediaと比較していたことなどを挙げ、同誌の調査方法は妥当でないと主張した。

 Nature誌はこれに対して、ブリタニカ百科事典以外の項目が使われたのは、BritannicaのWebサイト上であらかじめ決められた調査対象項目を検索した際に表示された文章を使用したためと説明している。この調査はWebサイトのコンテンツを比較するものだと同誌は主張している。

 また項目の一部のみを使用した点については、同等の長さの文章を比較するために、抜粋した部分をレビュアーに渡したとしている。ブリタニカ百科事典だけではなく、Wikipediaについても文章を抜粋して使用したと同誌は強調している。

 さらに、Britannicaが「BritannicaのWebサイトにない資料を使った」と主張していることに対し、同誌は「確認の結果、それは事実ではないと確信している」と反論している。

 同誌は、Britannicaが反論した点が、同誌のレビュアーが挙げた問題の半分にも満たないこと、またブリタニカ百科事典もWikipediaも、問題の記事が掲載された後で関連項目の一部を訂正したことを指摘した。

 「われわれは記事を取り下げるつもりはない」と同誌は結んでいる。

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