「HDD、薄型テレビ、液晶の3事業に最大限努力していきたい」――4月1日付けで日立製作所の古川一夫社長が就任し、4月3日の就任会見で「3事業を今年度後半に黒字化する」と明言した。
グループ企業間の横連携を図り、総合力を生かしてシナジーを追求していく姿勢も強調。各事業を地道に立て直しながら、営業利益率5%を「実現すべき最低ライン」として早期に達成したいとした。
古川社長は「HDD、薄型テレビ、液晶はこれからの日立を支える分野。積極的に投資したいが、収益面で課題があることは事実」と語る。収益回復に向けた対策はすでに進めているといい、今年度後半の黒字化は「必ず実現する」と明言した。
HDD事業のテコ入れ策は、外部メーカーとの協業などによる開発力の強化や品質の向上、中国生産拠点の立ち上げなど。薄型テレビは、技術力の高さや、グループ内連携が他社との差別化要因と見る。
「プラズマ技術はかなり早い時期からトップだった。今もALIS(独自の発光方式)で先行し、パネル自体が優秀。それに加えて、HDDを含めたシステム的なものに強みがある。単品の家電とは違う」
テレビへのHDD搭載やネットワーク対応はPDP最大手の松下電器産業など他社も行っているが、「“放送と通信の融合”と言われ、(テレビに映るコンテンツも)ダウンロード型、プッシュ型などいろいろな可能性がある。日立ならではの特徴を生かしたものを作る」と自信を示した。
「総合電機の看板にこだわりがある」――古川社長は「総合力」という言葉を繰り返す。グループ内の横連携を強めてシナジーを追及していく方針だ。
「当社は多くの事業部門やサービスを持っている。横通しで組み合わせれば、できることがたくさんある。総合力で生む新たな価値は他社には真似できない」
選択と集中を掲げた庄山悦彦前社長の構造改革は「成果を挙げてきた」と評価。改革の考え方は堅持しつつ、創業の理念に立ち返ってグループの結束を強め、規模を生かした経営を進めていきたいと語った。
また「事業に聖域を設けない」としながらも「まずは各事業を強化し、グローバルに通用させることが先決」と語り、事業の切り捨ては積極的には行わない姿勢だ。M&Aも「必要ならやる」としたが「まずは地道に、着実に事業を進める。M&Aはオプション」と消極的な姿勢を示した。
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