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» 2005年12月20日 18時06分 UPDATE

日立、「1インチ5000円のHDプラズマで世界トップに」

日立製作所は薄型テレビに関する事業方針説明会を開催、「2008年度にHDプラズマテレビで世界トップシェア獲得」という目標を掲げた。1インチ5000円のHDパネルを投入するほか、世界的な販売計画も見直す。

[渡邊宏,ITmedia]

 日立製作所は12月20日、薄型テレビに関する事業方針説明会を開催。「2006年度下期に黒字化」、「2008年度にHD対応プラズマテレビで世界トップシェア獲得」という2つの目標を掲げた。

photo 執行役常務 ユビキタスプラットフォームグループ長&CEO 江幡誠氏

 同社は1999年にプラズマパネルの生産を行う「富士通日立プラズマディスプレイ」(FHP)を設立し、早くから薄型テレビへの取り組みを開始していたが、今年度は薄型テレビ全般の価格下落や、予想以上の需要増といった市場の動向を予測しきれず、薄型テレビ部門は赤字となる見込みだ。

 市場でのシェア奪回に向け、同社執行役常務ユビキタスプラットフォームグループ長&CEOの江幡誠氏が掲げた強化ポイントは、「HD特化」「グローバルな生産・販売展開の促進」「パネル/コンポーネントの開発にグループ総力を集結」の3点。薄型テレビはとくにプラズマテレビを中核とした取り組みを行い、現在8500億円のデジタル家電全般の売り上げを2010年度には1兆5000億円に倍増させる計画だ。

 薄型テレビ事業の収益が悪化したことについて同社では、プラズマテレビにおけるHD比率の伸びが今ひとつであったこと、中型液晶テレビ市場の大幅な拡大、年間約30%という急速な売価低下などが要因であると分析する。これを受けて同社ではHDの訴求、IPSアルファ(液晶パネルの製造・販売を行う、同社と松下、東芝の合弁企業)の本格稼働などで対応するが、プラズマテレビについても「インチ5000円のHDプラズマ」という低コスト商品を投入していくことでシェア獲得を狙う。

photo プラズマはHD対応製品、液晶は26V型以上に特化する

 宮崎のFHPに新工場(三番館)を立ち上げてパネルの生産性を向上させるほか、世界共通のHDプラットフォームをデザインすることでプラズマテレビ製品そのもののコストも削減する。これらの施策を行っていくことで、2005年上期の総原価を100とした場合(42V型PDP/デジタルチューナー内蔵モデル)、2006年上半期には69、2006年下半期には60へと原価率を低下させ、2008年度には1インチあたり5000円に耐えられる体制を作り上げる。

 また、パネルに関しても1.8ミリの薄板化や42V型の多面取化、シャーシとセットの構造見直し、回路集積、基幹部品の集中購買などでコスト競争力を高めていく。結果、PDPのモジュールコストだけを抜き出せば、2006年春に出荷されるHDモジュールは他社VGAモジュールと同等の価格を実現することが可能になるという。「プラズマテレビはパネルもそうだが、回路のコスト比率が高い。ALIS(FHP独自の発光方式)ならば他社VGAモデルの価格帯で、HDの製品を実現可能だ」(富士通日立プラズマディスプレイ 代表取締役 井本義之氏)

 競争力向上のため、HDD内蔵製品など高付加価値製品にも積極的に取り組むほか、これまで年1回だったモデルチェンジを年2回とする。昨今では競合他社からフルHD(解像度 1920×1080ピクセル)に対応した製品がいくつか登場しており、同社でも42V型フルHDプラズマテレビを2007年に製品化することを発表しているが、同社が製品の主軸に据えようとしているのは1024×1024ピクセル(もしくは1366×768ピクセル)の製品。フルHD化については慎重な姿勢を見せている。

photo 同社が2007年の販売開始を計画している55V型と42V型プラズマテレビ

 「フルHD化に伴う価格上昇が一番の問題だ。比較的コストを吸収しやすい大型モデルからフルHDモデルを投入していくことになると思うが、フルHDというプレミアをどこまで価格という形で転嫁できるか。市場の反応を見なくてはならないと思う」(井本氏)

 生産体制も、日本で生産したPDPモジュールを諸外国の拠点へ提供する方式を強化することで、ワールドワイドの生産・供給能力を2007年には現在の約5倍、月間33万台まで増加させる。キャンペーンや販路拡大もワールドワイドで行い、大きなマーケットである北米・欧州でのシェアを引き上げたい考えだ。

 「グループとしてどこまでコミットできていただろうか。先行していたという自負があり、ライバルの力のいれ具合に劣っていたのではないだろうか。しかし、世界的な視点で見れば、まだマラソンでいう5キロ地点程度。始まったばかりだ」

 江幡氏は自らをいさめながらも、プラズマテレビ市場のライバルである松下電器産業などと同社のポジションはさほど離れていないと主張する。

 「グループとしてさまざまなリソースを活用できるのが日立の強み。開発力・生産力を考えればコストで他社に負けるとは考えられない」

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