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日立がFHPを連結子会社化、プラズマ事業を強化へ

» 2005年02月02日 18時43分 公開
[ITmedia]

 日立製作所は、富士通が所有する富士通日立プラズマディスプレイ(FHP)の株式およびPDPに関連する特許を取得することで合意したことを明らかにした。FHPは、1999年に両社が折半出資で設立したPDP製造メーカー。日立はFHP株の8割以上を持つことになり、FHPを連結子会社化する。

 日立製作所執行役常務ユビキタスプラットフォームグループ長&CEOの立花和弘氏は、「プラズマテレビは日立ブランドを形成する主要な要素であるコンシューマー事業の中核製品。FHPをグループの一員に加えることで、プラズマディスプレイ事業とパネル事業のシナジーを発揮する」と説明している。

photo 日立製作所執行役常務ユビキタスプラットフォームグループ長&CEOの立花和弘氏

 今回の合意により、日立は富士通の所有しているPDP技術関連特許を2005年3月末に取得する。また、3月末までに「FHPの債務超過解消を目的として」両社が財務的支援を行い、そのうえで4月にFHPの発行株式総数の30.1%を日立が取得する。出資比率は、日立が80.1%、富士通が19.9%となるが、FHPの社名および経営陣は変わらない。なお、特許や株式取得にかかる金額などは明らかにされていない。

 FHPは、32V〜55V型の大型ハイビジョンパネルを中心に製造している専業メーカーだが、海外勢との価格競争などの煽りをうけて債務超過に陥っている。製造コストの削減が当面の課題と指摘されているが、立花氏はFHPの事業立て直しについて、2つの方向性と見通しを示した。

 一つは、日立が持つHDDやDVDといったキーコンポーネントとPDPの組み合わせによる製品コストの削減。同社は、HDDやDVDドライブを搭載した録画機能付きの「Woooワールド」を展開しているが、現在のラインアップでは、実に国内向けPDP製品の4割以上が録画機能を持つ高付加価値製品だ。「プラズマディスプレイは、これらキーデバイスとの相関関係が強くなっている」。

 グループ内の部材調達比率を上げ、「トータルのセット(製品)としてコストを低減できるように持っていく」(同社ユビキタスプラットフォームグループCOOの井本義之氏)。また同時に、セットメーカー(日立)からのフィードバックにより、FHPは「より高性能なパネルの開発と提供が可能になる」としている。

 もう1つは、プラズマディスプレイの世界展開を前提として、「物量を増やす」こと。「2005年秋には、FHP宮崎事業所の新工場“三番館”が稼働する。既にある二番館と合わせ、2007年には月産25万台の生産能力を持つ世界最大規模のPDP生産工場となる」。

 また立花氏は、ワールドワイドのテレビ出荷台数に対してプラズマが占める割合が依然2%程度に止まっている点を指摘。「日本や欧州において大画面テレビはプラズマが中心。米国や中国はリアプロジェクションテレビの比率が高いものの、プラズマ&大画面にシフトしつつある。30インチまでは液晶、それ以上はプラズマというすみ分けで市場は拡大するだろう」。

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