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PC+ネット連携で“デジタル家電以上”に

» 2006年04月11日 18時59分 公開
[ITmedia]

 NECが4月11日発表したPC製品の夏モデルには、PCからインターネットの各種コンテンツを容易に利用できるようにした新サービスを搭載した。PCの機能が薄型テレビやデジタルレコーダーに接近する一方で、デジタル家電がPC需要を奪う傾向もある。NECの新製品はデジタル家電的な機能を売りにしつつ、デジタル家電に先行している動画のオンデマンド配信などを気軽に利用できるようにし、PCならではの利便性や楽しさを訴求していく考えだ。

photo 大型液晶一体型などをそろえたNEC夏モデル

 新製品はデスクトップ「VALUESTAR」とノートPC「LaVie」合計7タイプ26モデル。次世代DVDの搭載こそ見送ったものの(関連記事参照)、VALUESTARでは地上デジタルチューナー搭載モデルを拡充し、大型液晶モデルでは電源投入から2秒でデジタル放送を視聴できる機能や、キーボードをスライドして本体下部に収納できる機能を備え、見た目は液晶テレビそのものだ。

photo 「ぱそ楽ねっと」はニュースや天気、動画や音楽コンテンツのチェックやWeb検索を1カ所から行えるサイドバー

 家電に比べ一日の長があるのがインターネットとの連携。新製品は全モデルに新サービス「ぱそ楽ねっと」を搭載した。PC画面上にはサイドバーとして表示され、NECのポータル「BIGLOBE」が配信するニュースやブログなどの情報を選んで表示可能だ。

 BIGLOBEは同日、有料動画配信サービスを強化した「BIGLOBE ViDEO STORE」をスタート。売れ筋情報や購入履歴などをもとに、ユーザーにおすすめコンテンツをリコメンドする機能を備えた。

 例えば「ぱそ楽ねっと」からおすすめコンテンツへのリンクをクリックしてコンテンツを購入し、FeliCa対応機種から電子マネーで安全に決済する──といったことが可能だ。音楽配信はレーベルゲートの「Mora」と連携、購入した楽曲の再生時に歌詞を表示するといったことが可能だ。

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 「不安と不満を取り除き、誰もが便利なインターネットを楽しんでもらいたい」──NECの片山徹専務は、都内で開かれた新モデルの発表会でこう話した。「ぱそ楽ねっと」はPCとBIGLOBEとを連携させた新サービスの第2弾。昨年9月に発表した第1弾は、PCからリモコン操作で動画コンテンツを視聴できる「BIGLOBEストリーム(MG)」だった。

 PCとブロードバンドが普及する一方、音楽や動画のネット配信サービスの利用意向はそれほど高くないのが現状。「操作が難しい」「サービスを選ぶのが難しい」「電子決済が不安」といった抵抗感が「サービス拡大の障壁になっている」(片山専務)。「ぱそ楽ねっと」は各種のネットコンテンツに簡単にアクセスできるようにした上、有料コンテンツやネットショッピングの支払いをFeliCaで行えるようにし、電子決済への不安も解消する試みだ。

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 「一般ユーザーが1年以内に欲しい物は、PCよりデジタル家電」IDC Japanが国内コンシューマーを調べたところ、こんな結果になった(関連記事参照)。個人向けPCはデジタル家電化が進んでいるが、液晶テレビやデジタルレコーダーの購入希望に差を付けられた。

 IDC Japanは「個人向けPC市場の規模拡大は、きめ細かな市場分析とマーケティングが重要なポイント」と指摘している。NECは新製品で、デジタル家電的機能にPCならではのネット連携を組み合わせ、デジタル家電プラスアルファの利便性を訴えていく。

 BIGLOBEは7月にNECから独立し、新会社の社長には片山専務が就任する(関連記事参照)。片山専務は「BIGLOBEとPCを持つ強みをいかし、連携サービスを拡大展開していきたい」と話している。

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