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東京の離島「式根島」、島おこしIT技術者を募集中

» 2006年04月25日 20時14分 公開
[ITmedia]

 東京から南に約170キロ、伊豆七島の1つ・式根島(東京都新島村)。観光と漁業で成り立つ人口590人の島を、ITとIT技術者のアイデアで活性化してもらおうというイベントが5月13〜14日、同島で開かれる。

 イベントにはマイクロソフトが参加し、技術者向け情報サイト「TechNet」を通じて4月25日、技術者チームの参加募集を始めた。ITの普及は進んだが、それを担うIT技術者の社会認知や地位向上は課題のまま。ITを活用した地域支援を通じ、IT技術者の地位向上に貢献するのがねらいだ。

photo リアス式海岸、良質な砂地の海水浴場、海中温泉、海の幸(観光パンフレットより)

 イベントは「式根島リゾートプロデュース」で、マイクロソフトが参加する実行委が主催する。公募に応じたIT技術者チームが同島を訪問し、2日間かけて島民と交流しながら島の課題を探る。各チームには課題の解決と島おこしにつながるITシステムを提案してもらい、島民の前で行うプレゼンテーションを経て、優れたアイデアを表彰する。

photo 式根島(同島サイトより)

 伊豆七島唯一というリアス式海岸や海中温泉、シマアジにタイ──東京都内から3時間弱の船旅で訪問できる式根島は、今年で開島120周年を迎えた。

 主産業は漁業と観光だが、漁業は高齢化が進んでいる上、観光客も“離島ブーム”で「島というだけで何もしなくても観光客がどんどん来た」(式根島観光協会の清水欣吾会長)という1973〜74年ごろの年間6万5000人をピークに、現在は2万6000人程度に落ち込んでいる。

 観光は夏場の海水浴客に偏りがちで、オフシーズンも含めた通年の集客向上が必要。東京都民でも知らない人が多く、島の認知度向上も課題だ。「今後の観光はどうあるべきか、様々な施策を実行してきたが、効果に苦慮してきた」(同村の宮川伊三男助役)という島の悩みを聞きつけ、経営計画「PLAN-J」に「ITによる地域振興」を掲げるマイクロソフトが協力を買って出た。

 「IT技術者へのイメージを向上したい」──同社の森田益成ITProオーディエンスマーケティング&マイクロソフトラーニンググループ部長は、同社がイベントに参加するねらいをこう話す。ITは重要な社会インフラになった一方、「IT技術者という職業への人気は高くない。新卒の人気就職先ランキングでも、純粋なIT企業は上位に出てこない」(森田部長)のが現実だ。

 そこでイベントでは、IT技術者が島をITで手助けする役回りを積極的に引き受けることで、IT技術者の重要性に対する社会的な認知向上に貢献するのが同社の目的だ。TechNet上でのイベント告知や参加者プロフィールの掲載などを通じ、同サイトの認知度を高めるねらいもある。

 公募するのは1チーム3人編成×5チーム。島で行う提案は「島民に分かりやすい形」「観光客が飛びつきそうなアイデア」「専門家がみて納得するようなシステム構成」「予算は概算100万円程度」──などが条件。募集は28日まで。われこそは、という技術者は特設サイトで。

photo 都内で会見に臨んだ(右から)式根島観光協会の清水欣吾会長、新島村の宮川伊三男助役、マイクロソフトのガース・フォートサーバープラットフォームビジネス本部長

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