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「デジタルなのに手作り」 太郎商店が挑む、バカコンテンツ新ジャンル(2/2 ページ)

» 2006年05月26日 16時22分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 「みんなで共有できる、会話の種を作りたい」(坂本さん)。コレジャナイロボ、自爆ボタン、野望ポスターもそれぞれ、タイムボカンシリーズ以上の世代なら、なんとなく共有している世界観を思い起こさせるアイテムで、それをネタに話が弾む。

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 「アナログの自爆ボタンは、押しても何も起きない。でも押すまでが遊び。部屋で友達がボタンを見つけて『押していいの?』『さぁ?』『押すよ』『危ない! 何やってんだ!』――というコミュニケーションが楽しい」(武笠さん)

 だからデジタルの自爆ボタンも、何度も押せてしまったら意味がない。「物としての実体性、押したら終わるという緊張感が大事。何回もやると『ああ、こうなるんだ』と分かって飽きちゃうが、1回だけだとストーリーができやすい。友達のを押しちゃって、『お前、何するんだ!?』とか、そういう事件が起きれば楽しい」(武笠さん)

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 コレジャナイロボや野望ポスターも、妙な既視感がコミュニケーションを誘う。「コレジャナイロボも、ロボット自体が作りたいんじゃない。『こういう事件とか現象って、結構あるよね』と言いたい」(武笠さん)

 ロボットが欲しいと駄々をこねていたら、お父さんが木で手作りロボを作ってくれて、でもそれが異様にダサくて、「欲しかったのはこれじゃなーい!」と叫ぶ――そんな事件を経験したことがある人は、ほとんどいないかもしれない。しかしコレジャナイロボのデザインを見てとネーミングを聞くと、多くの人がそんなストーリーが思い浮かべそうだ。

 「40歳以下の世代は、漫画やアニメ、映画の世界を共有できる。映画『007』のシーンとか、アニメ『はじめ人間ギャートルズ』に出てくる肉とか、タイムボカンシリーズとか」(坂本さん)。同じ文化に浸って培ってきた感覚をベースに、太郎商店は、ネタになるバカグッズを開発していく。

 太郎商店は、有限会社ザリガニワークスのブランド。同社は、「明和電機」グッズなどを手掛けていた武笠さんと、ゲームメーカーでキャラクターデザインを手掛けていた坂本さんが独立し、2004年に設立した。武笠さんがアイデアをひらめき、坂本さんがデザインを担当する。

画像 オフィスは都内のアパートの一室
画像 オフィス一角にある工房
画像 制作中のコレジャナイロボ

 「太郎商店」のブランドは、ザリガニワークス設立前から存在した。武笠さんは1998年から同ブランドで、「デザインフェスタ」に出展。当初はまじめなアクセサリーなどを売っていたが、数千の出展者に埋もれ、なかなか売れなかったという。

 翌年のデザインフェスタで「目立とうと思って」(武笠さん)ジョークグッズ「アクションリング『脱出』」を出展。指輪にワイヤーを通して綱渡りができるというスグレモノだが、1万2000円と高価であまり売れなかった。次に作った「自爆ボタン」「コレジャナイロボ」が大ヒット。独立につながった

画像 アクションリング「脱出」

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