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ネット揺るがす「mixiショック」「YouTubeショック」

» 2006年07月03日 17時52分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 今年に入ってSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)に参入するポータルサイトやISPが増えている。「まさにmixiショックですよ」――ライブドアでポータル事業を取り仕切ってきた伊地知晋一副社長は、mixiの伸びがポータル事業者を刺激しているという見方を語る。

 ヤフー、楽天、ソニーコミュニケーションネットワーク、エキサイト――ポータル・ISP各社が今年、次々にSNSに参入した。中小のネット事業者も続々と新SNSを開設している。

 「mixiの急伸を見て、SNSは強力な集客エンジンになると気づき、各社焦り出したのだろう」。ユーザー自身が広告塔になるSNSの仕組みは、広告宣伝費をかけてユーザーを増やすよりも効率がいいと見られているという。

 ただ「SNSはもうかるビジネスではないはず」と指摘する。ブログを含め、ユーザーがコンテンツを作るサービス(CGM:Consumer Generated Media)は、ユーザーが増えて盛り上がっても広告が入りにくいためで、SNS後発組はビジネスモデルの確立も課題だ(関連記事参照)

 ヤフーや楽天は、SNSを自社サービスのユーザープラットフォームとして位置づけることで、mixiとは異なる利便性をアピール。収益化の手段を模索する。

 ライブドアが昨年1月から展開しているSNS「フレパ」も、当初は自社サービスへの誘導を狙っていたが、ポータルのリニューアルに伴って方針を変えた。今後は、同社のユーザー参加型サービスと連携し、各ユーザーの顔を見せるためのプロフィールページとして活用していく予定。エキサイトのSNS「ネームカード」と同様な位置づけだ。

YouTubeは「ビジネスモデルに問題」

 日本からのアクセスが急増している動画共有サービス「YouTube」も、国内のネット各社を刺激しているという。フジテレビは「ワッチミー!TV」でYouTube型動画共有に参入。サイバーエージェントも同様なサービスを始めると発表している。

 伊地知副社長は、YouTubeの収益化には懐疑的だ。「著作権を侵害したコンテンツが多い無法地帯。著作権フリーの広告コンテンツも一部公開されているようだが、違法コンテンツに合法コンテンツを混ぜて見せていく、という手法。これでは、イメージを気にする広告主が出稿したがらないため、ビジネスにならない」

 YouTubeは違法コンテンツの削除を強化してきているが「無法地帯というのがYouTubeの強み。これを取ったら強みがなくなる」とし、サービスのクリーンさと人気が反比例する可能性を指摘する。違法コンテンツがある限り広告は入りにくい。だが違法コンテンツを根絶には膨大なコストがかかる上、サイトの人気を下げる要因にもなるため不可能――痛しかゆしだ。

 ライブドアも画像共有サービス「PICS」を動画対応にすることを検討中だが、「動画サービスはコストがかかる」とし、ユーザーメリットとコストのバランスに注意しながら検討するという。

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