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今学期の「ブラウザ通信簿」、がんばった子は誰?

» 2006年08月04日 17時32分 公開
[Jim Rapoza,eWEEK]
eWEEK

 子どもが2人の家族で、1人は優等生で、もう1人は劣等生、ということはよくある。

 たいていは優等生でいる方がいいが、いつも「A」をとっているのに、ちょっと失敗して「B+」をとってしまったときは別だ。そんなとき、両親も先生も、なぜいつものようにいい成績をとれなかったのかとたずねるだろう。そればかりでなく、がっかりされてしまうかもしれない。

 これを「高望みの呪縛」と呼ぼう。これにかかると、「まあまあ」は失敗とみなされる。

 もっと始末が悪いのは、優等生が失敗したのと同じタイミングで劣等生が少しがんばって、悪くない成績をとった場合だ。それまで怠け者だった子どもがとうとうやる気を見せたことで、両親も先生も大いに褒めるだろう。こうなると優等生はやきもきしてしまう。ありがちなことだが、劣等生の方が学校で人気がある場合は特にそうだ。

 テクノロジー製品市場でも非常に似た力学がある。実際まさに今、ブラウザ戦争の再発でそれが起こっている。

 ブラウザファミリーの一員、MozillaのFirefoxは、レビュアーやインターネットのパワーユーザーのお気に入りだ。みんな、このブラウザが細部にまで注意を払い、強力な機能を備えているところが好きなのだ。片や、もう1人の子どものMicrosoft Internet Explorer(IE)は、ワームやセキュリティ問題をまき散らしてずっとしかられっぱなしだ。それに、批評家やパワーユーザーからは何年も成長しようという努力をしないブラウザだと見なされている。

 人気についても当てはまる。優等生のFirefoxには少ないが誠実な友人がおり、一方劣等生のIEはインターネットユーザーの間では非常に人気がある。

 ところが、双方の最近のβリリースで、大きな変化が起きた。今回のβリリースで、IE 7はここ数年で初めて本当の成長を見せた。もちろん新機能のほとんどはFirefoxをはじめとするほかのブラウザには既にあるものだが、少なくともIEは努力して、成長しようとしている。よくがんばったね、IE。星1つあげよう。

 一方、レビュアーとパワーユーザーはFirefox 2.0のβ1にはちょっとがっかりしている。このβでFirefoxはいつもの水準を保てなかったようだ。栄光の上にあぐらをかいているのかもしれない。いったいどうしたんだい? 君とはちゃんと話さなくちゃいけないね。

 これはFirefox支持者らをいらつかせている。彼らは新しいブラウザがリリースされれば、Firefox 2.0がIE 7より優れているときちんと説明できる。IEの成績は「D」から「B」に上がったが、Firefoxは「A」から「B+」になったということなのだ。

 だが、人間の家族と同じで、これはインターネットファミリー全体にとっていいことなのだ。よい子になろうとやる気を出している子どもがいると、家庭で不愉快な、または危険な行動が起きる可能性は低くなる。それに、優等生は奮起してより努力するという教訓を学ぶ。

 IEが全体的によりセキュアに、より標準ベースに、そしてより有能になることで、インターネットファミリーはより安全に、健全になる。それに、Firefox 2.0がぱっとしなくても、それはこのブラウザの開発者たちが、次のバージョンで星を獲得するために、もっと努力することにつながる。

 そうなると信じられないなら、Firefoxの開発者は、いとこのOperaを見るべきだ。バージョン8.0のリリースでは、Operaはあまり褒められなかった――このバージョンはOperaのいつもの水準に達していなかったからだ。だが、Opera 9.0がリリースされると、最高のブラウザだと称賛された(私自身が言ったのだが)。

 では、最後に成績発表とコメントを少し。

Opera 9.0:大変良くできました。調子を戻してくれて先生はうれしい。評価は「A+」だ。

Firefox 2.0 β1:もうちょっとがんばりましょう。悪くはないが、もっと努力してほしい。評価は「B+」。

IE 7 β3:よくがんばりました。ついに君がやる気になってくれてよかった。やればできるじゃないか。評価は「B」。

 こうしてみると、ブラウザのクラスは優秀だ。電子メールのクラスとは大違いだ。あの子たちは何をしでかすかわからないし、あの子たちの誰かから何か病気をうつされたかもしれない。

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