米Dellが、いよいよ広範な製品分野で米Advanced Micro Devices(AMD)を採用する。(訳注:本記事はDellによる決算発表の前に書かれたもの。)
テキサス州ラウンドロックに本拠を置くPCメーカーDellは米国時間8月17日、AMDプロセッサを搭載したDellブランドPCの提供計画を発表する予定だ。同社は、2006年末までにAMDプロセッサベースサーバを提供する方針を既に明らかにしており、今回の発表はその拡張を意味する。
業界観測筋は以前からDellによるAMD搭載製品ラインの拡張を予測していた。自社製品ラインに活気を取り戻し、米Hewlett-Packard(HP)などのライバル各社との競争力を高めようとする動きの表れかもしれない。AMD搭載製品の拡大が発表されれば、Dellは自社製品ラインに活気を取り戻し、米Hewlett-Packard(HP)などのライバル各社との競争力を高めるきっかけとなる。
8月17日のニューヨーク株式市場の取引終了後に同社第2四半期(5〜7月期)決算を報告する予定のDellは、最近、顧客満足度が低下――これについて同社はサービス、サポート、製品設計に投資して満足度の回復に努めるとしている――するとともに、8月14日にはこの2年間に出荷されたDell製ノートPCで採用しているソニー製バッテリーパック410万個をリコールする事件に見舞われた。同社は7月21日、第2四半期利益の下方修正を発表している。
カリフォルニア州サンフランシスコに本拠を置く調査会社、Moors & Cabot Capital Marketsのアナリスト、シンディ・ショウ氏は8月16日のリポートで次のように記している。「今後予想される発表は次の3つだ。1)既に進められている株式買い戻しの増加、2)マイケル・デル氏による日常業務への関与拡大、3)AMDベースのデスクトップとノートPCが登場すれば、Dellの株価上昇の短期的要因となる。これらの発表が、17日の業績報告および/もしくは9月のアナリスト向けミーティングで行われる可能性がある」
長い間「Intel一筋」のPCメーカーを貫いてきたDellだが、今年に入ってAMDに向けて緩やかに方向を転換し始めている。3月には高性能PCメーカーのAlienwareを買収、Alienwareを保有することで、Dellは表向きAMDプロセッサPCのディストリビューターとなる。だが、AMDプロセッサを搭載した自社ブランドのデスクトップまたはノートPCは発表されていなかった。
AMDベースのPCに転換することで、同じくAMDを採用したライバル製品に対抗できるようになる、とアナリストらは話している。
Dell幹部陣はOpteronプロセッサの採用決定に至った理由として、顧客の需要、Opteronの技術的能力、自社サーバ製品ラインで空白となっているハイエンドを埋める必要性の3つを挙げている。
これまでDellはAMDに関して、年末までにOpteronプロセッサを採用したマルチプロセッササーバ(4基以上のプロセッサを採用したマシン)ラインを構築する予定を発表するにとどまっていた。
ニューヨークに本拠を置くThomson Financialは、8月17日のDell第2四半期業績報告で1株当たり利益22セント、売上高140億ドルを予測していた。
ただし戦略転換についての詳細は、9月12日と13日にニューヨークで予定されているアナリスト向けミーティングまで明らかにされないだろう、とアナリストらは話している。
ニューヨークに本拠を置くJPMorganのアナリスト、ビル・ショープ氏は8月15日のリサーチノートの中で、米金融業界は、Dellに関する運営上の問題、利幅を圧迫するさらに積極的な価格付けの影響、そして現在の切り札であるエンタープライズ分野での需要という3つの項目に関して、同社から詳しい説明を待っているとしている。Dellは第2四半期利益の下方修正の主な理由として、エンタープライズ分野における積極的な価格攻勢を挙げていた。
さらにショープ氏は、Dellに必要なのは「主だった構造的および戦略的行動だ。こうした変革には、次のような事項が挙げられる(ただしこれに限定されない)。ビジネスリーダーシップの実質的な構造改革、コンシューマー分野における直販モデルの大幅改善、自由裁量経費と製品コストの圧縮に向けた取り組みの見直し、AMDに向けたより実質的な動き、などだ」と述べている。
Dell幹部陣にコメントを求めたが本稿掲載時までに返答は得られなかった。
一方AMDは、Dellの計画に関するさまざまな報道についてコメントできないとしている。
もっとも、AMDの広報担当は最近eWEEKに寄せた電子メールの中で、「Dellが既に発表しているAMD Opteronベースサーバの提供計画以外にAMD採用製品を拡大することは歓迎する」と述べている。
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