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PS3は「タフな状況」 ソニー2Q、エレキ復調も営業赤字

» 2006年10月26日 20時36分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 ソニーが10月26日に発表した2006年7−9月期(第2四半期)連結決算(米国会計基準)は、営業損益が208億円の赤字となった。液晶テレビやデジタルカメラなどが好調で売上高は伸びたが、リチウムイオンバッテリーの交換費用や「PLAYSTATION 3」(PS3)向け投資が足を引っ張った。

 売上高は前年同期比8.3%増の1兆8542億円、営業損益は208億円の損失、税引き前損益は261億円の損失、純利益は17億円。

画像 エレクトロニクス分野は、販管費の増加(バッテリーの交換費用含む)が重くのしかかった

 エレクトロニクス分野の売上高は前年同期比12.1%増の1兆3784億円。デジタルカメラ「サイバーショット T-10」がヒットしたほか、液晶テレビ「BRAVIA」やPC「バイオ」が好調だった。

 営業損益は80億円と同71.4%減。前年同期には厚生年金基金の代行返上益645億円が加算されていたほか、バッテリー交換費用512億円を計上したことで大幅減益となった。液晶テレビ事業の赤字幅は100億円に縮小している。

 ゲーム事業の売上高は同20.5%減の1703億円。PSPの販売数量減やプレイステーション2(PS2)の値下げなどで減収となった。ソフトは、PSP向けは増収だったが、PS2向けは減収。利益面では、既存プラットフォーム向けは前年並みだったが、PS3立ち上げ関連費用の計上で、435億円の営業損失を計上した。

ソニーの株価チャートソニーの株価チャート(1年:縦軸の単位は円)

 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの携帯事業は、「ウォークマン」「サイバーショット」の両ブランドを冠した携帯電話が好調で、売上高、利益、販売台数ともとも過去最高を更新。持ち分法による投資利益として218億円を計上した。

 映画事業の売上高は、劇場公開作品が増えたことで同12.1%増の1782億円に伸びたが、DVDソフトの売上げ減で営業赤字幅は2.3倍の153億円に広がった。金融分野は減収減益。ソニー・ミュージック・エンタテインメントのCD売上げは伸びた。

PS3は「タフな状況」だが……

 「PS3は計画通りにいくのか」――同日開かれた決算説明会では、PS3ビジネスに関する質問が何度も出た。PS3は、半導体の歩留まり問題で年内の出荷数は100万台程度にとどまる見込み。だが同社は今期中の出荷目標を600万台に据え置き、早期黒字化を目指すと説明している。

 同社の大根田伸行最高財務責任者(CFO)は「確かに12月までに出せる数量は少ない」と認めつつ、マーケティングでカバーしていくと語る。「年末商戦は重要だが、ゲームは正月以降も売れる商品。クーポンを配るなどして1、2月までモノを出せるような工夫を、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が考えている。タフな状況だが、600万台が無理とは思っていない」

 発売直前に値下げを発表したPS3は「価格と比べるとコストの方が高い」状況。値下げの理由を問われると「もともと米欧と比べて日本の価格が割高だった上、ソフトメーカーの数に対する期待に応え、プラットフォームを拡張するには値下げが必要と考えた」と説明した。

 来期以降は量産効果が出て大幅なコストダウンできる見込み。大根田CFOは「PS2並みの計画で投資回収できると考えている。オンラインを活用し、パッケージゲームから一歩抜け出したビジネスモデルを作っていく」と語った。

 液晶テレビは年末商戦で勝負をかける。年間販売目標600万台のうち4割を年末に販売する予定だ。ただ米国で価格下落が激しく、「競争は厳しい」状態。松下電器産業や韓国Samsung Electronicsの攻勢も激しいが「対抗戦略を立ててやっていく」とした。テレビ事業は下期に黒字化する見通しだ。

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