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ロボットの株取引コンテスト開催中 “ドライな運用”の成否は

» 2006年10月30日 15時47分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 1000位までの運用成績はWebサイトで公開中

 ファンドマネージャーの地位は、どのロボットに――株取引用のプログラム(ロボット)が仮想資金の運用成績を競い合うコンテスト「スーパーカブロボ」が、11月末まで行われている。参加ロボットは6000体。成績10位までのロボットは来年、計5億円を実際に運用し、マネックス証券で投資信託商品などとして販売する予定だ。

 カブロボは、早稲田大学理工学部の研究成果を応用しようと、早大系ベンチャー企業・早稲田情報技術研究所などが2004年から行ってきた株取引コンテスト。「早大の理系学部では、スパム除去フィルターや人工知能、音声認識、ゲノム解析技術などを研究している。それぞれ、未知の情報を推測し、判断するアルゴリズムが必要。株取引に応用できるのでは、と考えた」と、早稲田情報技術研究所の加藤浩一社長は語る。

 オリジナルのロボット作成にはJavaプログラミングの知識が必要だが、初心者用に、自由に設定を変更できる汎用ロボットも用意した。次回大会からは、人間の手作業による売買でも参加できるようになる予定だ。

人間と違いドライな運用

 ロボットの売買アルゴリズムはさまざまだ。株価や出来高、企業業績などから相場を分析するオーソドックスなものから、精神分析を加味したり、脳の情報処理法を応用するもの、風水や社長の姓名判断、会社の設立年月日からバイオリズムを計算するもの――など、ユニークなアイデアも多い。

 ロボットはドライに運用でき、戦略にブレがないため、損切りすべきと思いながらもズルズルと売れずに含み損を拡大させるような“人間的な”失敗がない。「例えば『5%上がれば売る、20%下がれば買う』とルールを決めれば、決めた通りにきっちり売買する。じっと待っていれば当初の狙い通りの動きをしてくれる」(加藤さん)

ロボが5億円を実運用

 2004年の第1回、2005年の第2回大会は、大学生や研究者などが開発したロボットがそれぞれ約2400体ずつ参戦。トップは年率換算で828%という運用成績を残した。今年から「スーパーカブロボ」に改名し、6000体の参加ロボットがそれぞれ、5000万円の仮想資金を3カ月間運用して成績を競う。

 1000位までの運用成績はWebサイトでリアルタイムに発表しており、現在のトップは、60日間で資産を6179万9756円に伸ばしたロボット(年率換算で141.14%)。10月30日現在までに資産を増やしたロボットは、6000体中626体に過ぎない。

 コンテストは11月末まで行い、12月18日に東証アローズで優秀者を表彰する。10位までのロボットは、来年1月から6月まで各5000万円(計5億円)の資金をテスト運用。早ければ来年7月から、マネックス証券で投資信託商品などとして販売し、収益の一部をロボット作者に還元する。

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