NTT都市開発とNTTファシリティーズは10月30日、都市地域が高温化する「ヒートアイランド」対策としてビル屋上でサツマイモを栽培したところ、太陽エネルギーを約8割吸収するなどの効果があることを確認できたと発表した。今後システムの改良などを施し、他の対策と組み合わせて提供をしていく。
両社が今夏に実施した、サツマイモの水気耕栽培システムによるヒートアイランド対策効果を検証する実証実験で確認した。屋上でサツマイモを栽培することで、サツマイモの葉による遮熱効果に加え、葉から水蒸気が出る「蒸散」によって気化熱が発生し、大量の熱を吸収することで気温上昇を抑えられるという。
水気耕栽培は土を使わないため既存ビルへの導入が容易な上、1平方メートルのユニットで約25倍の面積を緑化できる育ちの良さや、栽培が簡単なのもメリット。秋にはイモを収穫できるおまけも付く。
実験は、NTT都市開発のアーバンネット三田ビル(東京都港区)の屋上で行い、サツマイモで緑化した区域と、何もせずそのままの区域(無処理区)を設けて調べた。
盛夏の8月13〜19日の日中のデータを見ると、無処理区は太陽からの正味エネルギーの約9割が、気温の上昇をもたらす「顕熱」になっており、ヒートアイランドの要因になっていた。一方、緑化区はサツマイモの生育が日照不足で遅れていたが、太陽の正味エネルギーの約8割を蒸散作用で吸収していたことを確認したという。
また屋根の表面温度も、無処理区の最高55度に対し、緑化区は最高28度にとどまっており、ヒートアイランド化の要因になっている屋上温度の上昇を緩和していることが分かった。
ちなみに100平方メートルの緑化でイモ約100キロを収穫できる見込みという。
今後、NTT都市開発は自社所有ビルにサツマイモ栽培システムの設置を検討していく。NTTファシリティーズはシステムの改良やコストダウンを検討し、他の方法と合わせてヒートアイランド対策としてビル向けに提供していく考えだ。
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