独立行政法人・情報通信研究機構(NICT)と神戸大学は共同で、鏡に映った映像を空中に結像する光学素子の開発に成功したと発表した。左右反転した鏡の映像が空中に浮かんで見え、ディスプレイや広告装置などへの応用を期待している。
ナノ加工技術を用い、1辺が約100μメートルという微細な鏡(マイクロミラー)の多数形成した受動光学素子を開発した。素子には微小な貫通穴が多数あいており、内壁がマイクロミラーになっている。穴を通過する光がマイクロミラーで反射されることで鏡映像を作る。
鏡映像は、像のある場所に実際には光が集まっていない「虚像」で、「鏡の中に仮想的にしか存在していない」。新素子は鏡映像を、実際に光が集まった「実像」として空中に結像させる。いわば、鏡の中の映像を現実世界に引っ張り出した格好だ。
素子の裏側に従来の液晶ディスプレイを配置すれば、視点を変えても全く動かない3次元的な位置を持つ空中映像のディスプレイを実現できるという。今後は分解能の向上や迷光を取り除くなどの改善を進めていく。
11月29日〜12月1日に開かれる「全日本科学機器展 in 東京 2006」(東京ビッグサイト)で展示する。
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