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「数だけ増やすコア戦争に意味なし」AMD副社長

» 2006年12月21日 15時09分 公開
[西村賢,@IT]

 個々のコアが均一な機能を持ったマルチコアプロセッサは、2010年までに不十分なものになる――。米Advanced Micro Devices(AMD) ワールドワイドセールス/マーケティング最高責任者のヘンリー・リチャード(Henri Richard)氏は今後プロセッサ業界で加熱が予想されるコア戦争に疑問を投げかけた。

 12月20日に都内で会見を開いたAMDのヘンリー・リチャード氏は、2006年の同社の業績を総括するとともに、米ATI Technologiesとの合併による今後の同社の戦略的重点項目について語った。

 2006年のAMDの業績で最も注目されるのは、同社のポートフォリオの変化だ。チャネル販売によるデスクトップ分野で強みのあったAMDだが、2006年にはOEM販売が増えたほか、サーバ向けやモバイル向け製品の売り上げ比率が急増。中でも好調なOpteronサーバに牽引される形で、2005年から2006年にかけてビジネス向け製品の売り上げが続伸し、2007年には個人向け製品とビジネス向け製品の売り上げ比率を均等に近いところまで持っていくという。結果、AMDの売り上げは「IT市場全体の市場比率に近づいている」(リチャード氏)という。

 10月に完了した米ATI Technologies社の買収の影響については、「この業界では人材の確保がいちばん難しいが、4000人もの優秀で献身的なATIの人々を迎え入れることができた」(リチャード氏)と言及。また、今後の技術的方向性について「GPU、CPU、チップセットのすべてを1社で提供しているのはAMDだけ。今後はAMDとATI、双方の強みを融合したプロセッサ、“Fusion”を開発し、2009年には最初の製品をリリースする」と話した。同氏によれば、1981年の創業以来漸進的だったこれまでのプロセッサの進化は大きな変革期にあるという。「ソフトウェア処理の並列化には限界がある。コア数を増やすだけでは意味がなく、それよりも特定機能に特化したコアをプロセッサに統合することが重要」と、数だけを増やすコア戦争に意味はないとの見解を改めて示した。

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