ITmedia NEWS >

Vista前の買い控えが影響、2006年の国内PC出荷台数はマイナス成長

» 2007年01月25日 18時39分 公開
[ITmedia]

 電子情報技術産業協会(JEITA)によると、2006年通年のPC出荷台数は、前年比97%の1347万9000台(うち国内出荷は1233万4000台)にとどまった。出荷金額も前年比93%の1兆6468億円(同1兆5,095億円)。いずれも4年ぶりに前年を下回る結果となった。これに伴い、当初1350万台と予測していた2006年度の国内PC出荷台数予測を下方修正し、1290万台としている。

 2006年度第3四半期(10〜12月)のPC総出荷台数は288万7000台(うち国内出荷は258万1000台)にとどまった。「前年同期比90%という非常に厳しい実績になった」(パーソナルコンピュータ事業委員会委員長、富士通経営執行役の山本正己氏)

 同四半期の出荷金額も同様に減少し、前年同期比86%の3387億円だった。ただ、デュアルコアCPUや大容量メモリ搭載機など、Windows Vista対応のハイスペック機が投入されたこともあり、下落の程度はゆるやかになったとしている。

2006年度の国内PC出荷台数予測は下方修正され1290万台となった

 山本氏は、PC出荷が頭打ちとなった要因の1つとして消費の多様化を挙げた。また、特に第3四半期については、Windows Vistaリリース前の買い控えが大きな要因として挙げられるという。ベンダー側でもVista販売をにらみ、新製品のリリースを第4四半期(2007年1〜3月)にシフトしたことも相まって、個人向けPCは出荷ベースで対前年比で80%を割る状況となった。

 一方、企業向けは堅調に推移した。特に、企業の間でセキュリティへの懸念が高まっていることから、バイオメトリクス認証や非接触ICカード、暗号化などの対策を施したPCが普及し始めているという。

 それだけに期待が寄せられるのは、Windows Vistaが登場する第4四半期だ。「Vistaによる個人需要の追い込みによって、前年度並みに挽回したい」と山本氏は述べ、2006年度第4四半期には対前年比110%の成長を予想した。

 「新しいOSによって10%強の上乗せを予測している。その後もこの勢いが続くことを期待している」(同氏)。Vistaの投入にPC買い換えのサイクルが連動することで「上昇気流」を期待しているという。さらにその後1年ほどかけて、セキュリティ面に着目した企業側のVista移行が進むとの見通しだ。

 なお同日、マイクロソフトはWindows XPのサポート延長を発表したが、山本氏は「そもそもこれは顧客が望んでいることであり、JEITAとしても歓迎したい」とコメント。一方で「新しいOSに期待するユーザーもいるだろう」とし、これがPC出荷台数に影響を及ぼすとは考えていないとも述べた。

 JEITAは同時に、「ノートPCリチウムイオン電池安全利用特別委員会」での活動状況も報告した。この委員会は、2006年に発生したソニー製リチウムイオン充電池の不具合問題を受けて設けられたもの。一般ユーザー向けにWebサイトを通じて適切な取り扱い方についての情報を提供するとともに、電池工業会(BAJ)と意見を交換しながら、同電池とノートPCの設計・評価に関する業界としての指標策定活動を進めてきた。

 具体的には、リチウムイオン電池の特徴と電池パックとしての安全対策のほか、障害の検出方法、障害発生時の被害の局所化や要因解析といった事柄をテーマに、重要項目の洗い出しを実施。これを踏まえて、設計マージンなども考慮した形で、電池パックの設計、実装時の定量的な指針を、2007年3月末をめどにまとめていく。将来的にはこれを、標準規格化していくことも視野に入れている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.