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MSよ、挑戦者Googleに気をつけろ

» 2007年02月27日 17時10分 公開
[Jason Brooks,eWEEK]
eWEEK

 わたしたちコンピュータ業界誌の人間は、今なおMicrosoftとどこかの企業、政府機関、またはレドモンドの巨人に挑戦するにはまだ遠い新コンセプトとの次の大きな戦いをつづろうとしている。この数年は、こうした挑戦者としてGoogleが好まれてきた。たとえGoogleがMicrosoftのプロダクティビティソフトとクライアントOSを直接攻撃してこなかったとしてもだ。

 しかし2月22日にGoogleが、Webベースのメッセージング、予定表、ワープロ、表計算ソフトを集めたスイートのプレミアム版を発表したことで、Google対Microsoftのニュース――そして(Microsoft CEOの)スティーブ・バルマー氏がいすを投げたという逸話――はまったく新しい趣を帯びてくる。Google担当者は、同社の新しい年額50ドルの製品は今Officeを使っていない企業をターゲットにしていると言うが、わたしはこの製品がMicrosoftのOfficeとExchange Serverのライセンス売り上げを一部失わせるだけではなく、Windowsの独占をも揺るがす可能性があると確信している。

 まず、Googleのアプリケーションが採用される上で最も明白な障害は、機能が足りないと思われていることだ。オフィスで支給されるすべてのデスクトップにはプロダクティビティアプリケーションの基準が必要であり、その基準はMicrosoft Officeが定義しているという社会通念がある。Microsoftの一番人気の製品をまねて不毛な機能拡大競争に入り込むのではなく、Googleは新たな基準を提案している。

 例えば、どちらかというとスリムなGoogleのワープロソフトを見てみよう。オンラインワープロソフトにMicrosoft Wordと同じだけの機能を詰め込んでも、Googleにとっては役に立たなかっただろう。Microsoftを含め誰もが認めるとおり、ほとんどの人はOfficeの機能の大半を使っていない。

 Microsoftにはおそらく間違いなく、ほとんどの人が望んでいる軽量なWordを提供する自由がない。だから同社はこの数年のほとんどを、そもそもユーザーがなくて不便だと思ってもいなかった機能を見つけやすくすることに費やしてきた。一方Googleは、同社スイートのユーザーはOfficeとまったく同じものを期待するべきではなく、Googleスイートの提供していない機能を必要としているのなら、ライセンス料を払ってWordを利用できるとすぐに宣言できる。

 Googleの製品とMicrosoft OfficeおよびExchange Serverのライセンスのコストの差は大きいが、Googleのアプローチの真に破壊的な点は、個人と中小企業に提供するものにある。Googleのアプリケーションスイートはすべてのソフトが個別に無料で利用でき、ドメイン当たり25ユーザーまでの標準版スイートも無料だ。これら無料サービスには、プレミアム版で提供されているGmailの99.9%のアップタイム保証がなく、ディレクトリの統合や電子メールアーカイブ管理を可能にするアドオンのサポートもないが、コンシューマーからエンタープライズに至る道のあらゆる点で、Googleのアプリケーションスイートへの確固たるエントリーポイントを提供する。

 Microsoftを競合企業から際立たせているのは、この道のあらゆる点でユーザーをとらえる手腕だった――Windowsのビデオゲームなどのサポートは企業には直接の影響はないが、WindowsになじんだIT管理者の数には影響すると言える。

 価格と配布経路――Googleのアプリケーションはすべてのブラウザ、すべてのプラットフォーム、インターネットに接続されたあらゆる場所でユーザーを待っている――に関して、Googleはユーザーのアプリケーションへの期待を見直すことができる。確かに、職場から自宅へ、あるいはラボのコンピュータ間を移動するときに、自分あてにいちいち記事をメールで送らなくても不自由しない。この「機能」に対するわたしの愛着は、ここ数カ月OpenOffice.orgの使用を大きく減らすに十分なほどだった。

 もちろん、クロスプラットフォームサポートとGoogleアプリケーションの常時稼働の条件となるWeb基盤は、依然としてGoogleスイートの避けられない欠点ではある――Googleアプリケーションはインターネットアクセスのあるあらゆる場所でユーザーを待っているが、どこでも確実なインターネット接続を利用できる状況にはほど遠い。わたしは今のところGoogleアプリケーションにかなり満足しているが、わたしを感動させる――そしてバルマー氏に、比喩的にであれ、文字通りにであれ、いすを投げ続けさせる――には、Googleはオフラインも征服する方法を見出さなくてはならない。

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