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Winnyがアジアのユーザーの脅威に? Kaspersky Labがマルウェア動向報告書

» 2007年03月01日 13時46分 公開
[ITmedia]

 ロシアのセキュリティ企業Kaspersky Labがまとめたマルウェア動向報告書によると、2006年の悪質プログラムの件数は前年に比べて合計で41%増加した。

 2006年の特筆すべき傾向として、オンラインゲームのユーザーから情報を盗むトロイの木馬が台頭したほか、ユーザーの情報を暗号化して人質に取るトロイの木馬が出現。また、Microsoft Officeで脆弱性が多数見つかり、それを悪用したマルウェアが出現する現象が顕著になった。

 MacOSに感染する初の本格的なウイルス/ワームも現れたほか、モバイルユーザーのアカウントから金を盗むトロイの木馬も浮上。感染経路としてはインスタントメッセージング(IM)が深刻な脅威を投げ掛けるようになっている。

 種類別では、悪質プログラム全体の中でトロイの木馬が91.9%を占め、前年より2.79ポイント増加。ウイルス/ワームは4.7%で1.3ポイント減り、脆弱性悪用コードなどその他のマルウェアは3.51%で同1.49ポイント減少した。ただ、2007年はこの種のマルウェアが増えるとKasperskyは予想している。

 同社の予想では、2007年は引き続き個人情報を盗み出すトロイの木馬が増える見通しで、ウイルス作者とスパマーが共謀し、感染コンピュータを使って組織的な攻撃を仕掛けたりスパムを送信する傾向が続くと見られる。

 攻撃には今後もブラウザの脆弱性と電子メールが主に使われる見通しだが、日本で人気が高いWinnyは2007年、アジアのユーザーにとって深刻な脅威になる可能性があると同社は指摘。アジアではゲームに感染するトロイの木馬やワームが台頭する一方、欧州と米国ではスパイ機能を持ったトロイの木馬やバックドアが問題になるなど、国や地域による違いも出ているという。

 今後数年のウイルス業界の展望は、Windows Vistaの脆弱性と限界によって左右されるとKasperskyは述べ、MacOSなどそれ以外のOSでも悪質プログラムが増え、プレイステーションや任天堂のゲーム機を標的とする傾向も強まるだろうと予想している。

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