ロサンゼルスに拠点を構える白田弘樹さんも、日本アニメの海外売り込みに関わるインデペンデントのプロデューサーの1人だ。最近では、冒頭で紹介したMONSTERの実写映画化に関わった。
白田さんは最近、この手の動きは第2の“波”が来つつあると感じている。「かつては映画化の話を持ち込んでもあまり関心を示さなかった企業が、向こうから『実はあのマンガの映画化権がほしいんだが』と言ってくる。ドラゴンボールなどが話題になった当時を“第1次ブーム”と位置づけるなら、最近は第2次ブームだと思う」
なぜ、ハリウッドは日本のマンガに注目するのだろうか。非常に基本的な部分として、原作が面白いから……という理由があることは間違いない。ハリウッドは前述のとおり、常に面白いテーマ・ストーリーがないか探している状況にある。
だがそれ以外の理由として白田さんが指摘するのは、日本市場のおいしさだ。「映画産業的に見ると、日本は米国と同様に大きな、見逃せない市場。米国と日本の両方でヒットを飛ばすことができれば、興行成績も満足のいくものになる」
例えばマンガではないが、トム・クルーズ主演の映画「ラストサムライ」は全米で1億ドルを超える収入があった上、日本でも100億円を超える興行収入を稼いだ。「最近でいうと『硫黄島からの手紙』もそうだと思うが、日本と米国の両方の市場を狙えるというのは重要だ」(白田氏)
この観点でいうと、日本アニメの実写映画となれば、日本で多少なりと話題になることは間違いない。その上、日本のマンガ・アニメは欧州でも人気がある。アメリカのみならず、上手くすれば世界の市場を狙えることになる。この点でジャパニーズ・コミックの映画化は旨みが大きいのだという。
白田氏は、自身も次なるジャパニーズ・コミックの売り込みを狙っていると話す。作品名は明かされなかったが、一般論として週刊少年ジャンプ/マガジン/サンデーといった発行部数の多い雑誌で連載されているものも、検討の対象になっているようだ。
「現在も、複数のプロジェクトが進行中。今年中にはそのうちのいくつかを発表できれば」と白田氏。実際に映画館で封切されるまでは多くのステップを踏む必要があるとはいえ、今日もハリウッドでは、どこかで日本マンガの映画化計画が動いている。
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