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世界初「カラー電子ペーパー」端末発売

» 2007年04月20日 16時27分 公開
[ITmedia]

 富士通子会社の富士通フロンテックは4月20日、カラー電子ペーパーを採用した携帯情報端末のサンプル販売を始めた。電子ペーパーは一般の液晶ディスプレイと異なり、電源を切っても画面表示をそのまま保てるのが特徴。白黒の電子ペーパーを使った読書端末などは発売されているが、カラー電子ペーパー搭載端末は世界初としている。

 軽量かつ低消費電力などの特徴をいかし、電子書籍や漫画などを楽しめるコンテンツ端末として、2008年度にも個人向けに販売する計画。将来はA5タイプで4万円を切る価格を目指し、普及させたい考えだ。

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 携帯端末の名称は「FLEPia」(フレッピア)。富士通研究所と共同開発したカラー電子ペーパーを採用した(関連記事参照)

 一度画面にコンテンツを表示すれば、電源を切っても半永久的に表示を保てる電子ペーパーを搭載したのが最大の特徴。画面サイズが12型(184.3×245.7ミリ)のA4タイプと、8型(120.2×160.2ミリ)のA5タイプの2種類あり、それぞれ解像度は768×1024ピクセル(XGA)とノートPC並み。さらに8色か4096色のカラー表示が可能だ。コントラスト比は4:1。

photo A4タイプとA5タイプ。カラーバリエーションは3色

 反射型(反射率30%)のため、一般的な透過型の液晶と比べ日中の屋外でも視認性は格段にいいという。タッチパネル機能も備え、各種の操作は画面を触って行える。

 電源オフで表示を保持できる反面、画面表示の書き換えに時間がかかる。8色表示の場合で2.3秒、4096色で10秒かかり、現状ではWebをスクロールしながら閲覧するといった用途には向かないが、一般の新聞や書籍、漫画をページをめくるように表示させるコンテンツビューアー的な使い方を想定。今後は8色で1秒以下にするなど、改善も進める。

photo 書き換えはインターレース的に行われ、徐々に表示がはっきりしてくる

 省電力性も特徴。8色画像を1分間隔で書き換えた場合で、内蔵バッテリーで50時間連続の駆動が可能という。バッテリーを小型化できる分本体を薄く軽くでき、厚さはA4・A5とも12ミリ、重さはA4で480グラム・A5で320グラムと携帯しやすい。

 コンテンツはSDメモリーカードに保存する。別売りの4Gバイトカードを使えば、新聞の朝夕刊1年分、漫画週刊誌2年分を持ち運べるという。OSにWindows CE 5.0を採用しており、USBのほか内蔵の無線LAN機能(IEEE 802.11b/g)を使ってネットから直接コンテンツをダウンロードすることも可能。128ビットAES暗号によるコンテンツ保護にも対応した。

photo 薄くて軽い印象。ステレオスピーカーで音声も再生できる。Windows CEを搭載し、ソフトキーボード&タッチパネルによる文字入力にも対応。Webブラウザや電子メールなども使える

 当面はコンテンツ配信など、企業の実証実験用を想定。そのため販売は10台単位で行い、税込み価格はA4タイプで262万5000円(1台あたりの本体価格は25万円)、A5タイプで157万5000円(同15万円)。2007年度中に1000台の販売を計画している。

 今後、出版社や新聞社などと協力し、同社でコンテンツ配信にも乗り出す。08年度には一般販売を始め、09年度に年間10〜50万台規模で本格量産を開始する計画だ。

 現在は一般ユーザー向けには高価だが、「デジカメくらいの価格にしたい。A5で3万9800円、A4で6万円を目指す」(富士通フロンテックの利根廣貞常務)としている。電子ペーパーの市場規模は10年度に423億円(矢野経済研究所の予測)。同社はこのうち20%の獲得が目標だ。

 新製品は「富士通フォーラム2007」(東京は5月17〜18日・東京国際フォーラム)に出展する。

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