ここ1カ月ほど、AppleがMac OS X Leopard(v10.5)を延期するのではないかといううわさが浮かんでは消え、結局はまた浮かんできた――今度は、Appleの奥深くからの本物のプレスリリースとして(4月13日の記事参照)。新しいLeopardのリリース日は10月になっている。
ということは、スティーブ・ジョブズ氏がハロウィンの仮装をして立ち上げを行うかもしれないということだろうか? 今年の10月31日は水曜日。変な格好で立ち上げパーティーをするにはいい日だ。
Leopardが、大方が予想していた6月ではなく、4月に出荷されるといううわさはかなり前から流れていた。ジョブズ氏は1年前に、Leopardは「春に」登場すると話していた。長年のAppleウォッチャーは、この「春」が、赤道よりも上のここでは6月21日の夏至まで延びる可能性があるということも知っている。
とは言え、4月リリースという予測は実現しそうにはなかった。ビルドのテストのペースが速まっていなかったからだ。企業がGM(ゴールドマスター)に向かっている時は、たいてい毎週新しいバージョンがリリースされるものだ。
もっと重要なのは、開発者がLeopardのコードはクライマックスを迎えられる状態ではないと言っていたことだ。
「(延期には)まったく驚いていない。Leopardはまだ十分に安定しているようには見えない」と匿名希望のあるアプリケーション開発者は話していた。
別の開発者は、最近のβバージョンは「ひどいものだ」と言う。
しかし、2月と3月には開発者らは、AppleがLeopardを6月の2007 WWDC(Worldwide Developers Conference)でリリースするつもりであることを示す兆候があると話していた。
同社は4月12日に、WWDCで開発者に「完成に近いバージョン」を提供することを明らかにし、さらにBuild 9A410を一部開発者にリリースした。前回のビルドから約6週間ぶりのリリースだった。
しかし、10月リリースのうわさが最初に出てきたとき、ほとんどのAppleインサイダーは信じなかった。問題は、延期の理由として挙げられたのが、LeopardのWindows Vista向けデュアルブートサポートだったということだ。
これは理にかなっていない――AppleがWindowsのためにMac OS Xを延期する? まさか! Appleが3月末に32ビットVistaをサポートするBoot Camp β1.2をリリースした時に、この憶測は永久に消え去った。
10月リリースは正しかったが、Appleは4月12日に別な理由を挙げた。
同社によると、iPhoneのテストのために、Mac OS XチームがLeopardのテストとバグフィックスに使うためのエンジニアリング・QAリソースをシフトしなければならなかったという。「人生にはしばしばトレードオフが発生する。今回の場合、われわれは正しいトレードオフをしたと確信している」と同社はリリースで述べている。
この弁解に、わたしが話を聞いた開発者のほとんどは納得したようだ。
「OS Xの技術がどれだけiPhoneで使われているのか、誰にも分からないだろう。判別は難しい。だが(プログラマーのシフトが)あり得るというのは想像が付く」とあるWebツール開発者は語った。
「もちろん、少しがっかりしているが」とこの人物は続けた。「だが(延期で)Leopard版の自社プログラムにかけられる時間が増える。悪いことではない」
ほかの人々は、iPhoneのためという弁解は、多くのバグが残っていることを隠すための「煙幕」だと考えている。
もちろん、Leopard延期にはマイナス面がある。だが、プラスの面も幾つかある。
Mac開発者は長い間Leopardを待っていた。以前のコラムで触れたように、顧客がLeopardをインストールした状態でWWDCに向かう方が、そうでないよりもずっと良かっただろう。
AppleのLeopardの話は、WWDCで開発者に強いデジャブを感じさせるかもしれない。3度目の新機能プレゼンテーションで、どれだけ以前と違ったことができるだろうか?
とは言え、新鮮に見えるLeopard Server技術はたくさんある。ほとんどはSMB(中小企業)にサービスを提供することを目的としたものだ。
例えば、Leopard Serverは、Wiki用ローカルサーバ、Spotlightコンテンツ検索、iCal予定表ファイルなど、Windows Exchange ServerとMicrosoftのLive Serverアプリケーションの一部に代わる新しいコンテンツ・コラボレーション機能を備える。サーバサイドポッドキャストパッケージ「Podcast Producer」もある。
WWDCでは、セキュアなマルチユーザービデオ会議やスクリーン共有をサポートするiChat Server 2の詳細も明らかになる見込みだ。同ソフトはIMサポートを追加しており、MacユーザーはGoogle TalkなどほかのXMPP IMシステムと接続できる。現行のTigerはJabberをサポートしている。
さらにAppleはWWDCで、組織内のMac「乗り換え組」をサポートするWindows管理者向けの新しいITイマージョントラックで、IT管理者にフォーカスする。
おそらく今回のLeopard延期で、AppleはZFS(Zettabyte File System)のサポートにもっと光を当てることができるだろう。ZFSはSun Microsystemsのプール型ストレージファイルシステムで、Solaris 10に搭載されている。12月にはあるMac情報サイトで、Leopard上でZFSを走らせているスクリーンショットが公開された。
ZFSのインテリジェントマネジメントは、内蔵型の複製機能、RAID、自己修復データ検証などストレージの良い点をサポートする。これらはLeopard Serverのほかのサービスの追加機能になるだろう。
Leopardの延期がもたらすもう1つの疑問は、Appleのプロダクティビティパッケージ「iWork 2007」がリリースされるといううわさに関連している。うわさサイトThink Secretは1月に、iWork 2007に新しい表計算アプリケーションと、プレゼンテーションソフトKeynoteとワープロソフトPageの新版が含まれると伝えていた。
一部の内部筋は、この新版はLeopardの機能と連係していると示唆している。それについては春か夏に分かるだろう。
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