誤算は続く。FONのAPがまるで見つからないのだ。外出する際は右手にFONを持ち、WIRELESS LANスイッチのオンオフをしきりに繰り返す。AP自体はどこに行ってもたくさんあり、1度に10以上見つかることもザラ。ただ、FONだけはなかなか見つからないのだ。
スペインに着きさえすれば、FONのAPはすぐに見つかると思っていた記者が甘かった。FONは、個人宅の無線LANを開放したもの。記者が行くような観光地にはそもそもAPがあまりないのだろうし、高層マンションの多いスペインでは、上階でFONを利用していても地上の記者まで電波が届かないのかもしれない――焦る。
出国前に、APの位置を確かめられる地図を一応は眺めてきた。泊まるホテルや行く予定の観光地を、Google Maps APIを活用したFONの地図上で探したのだが、うまく見つけられず、断念してしまったのだ。マドリッドの地理がまるで分からず地図が読めなかった上、地図上では、マドリッドならどこでもAPがあるように見えたから「まぁいいや」と思って。まさかここまで見つからないとは。誤算だ。
結局マドリッドでは1度もつなぐことができず、落胆したまま世界遺産「メスキータ」のあるコルドバへ。だがコルドバの街中でもAPは見つからない。半ばヤケクソになってメスキータの建物内でもAP探しをしてみたもが、当然ながら見つからない。
落胆しつつも旅は続き、海沿いの都市マラガにやって来た。マラガは実は、FONのために無理矢理旅程に組み込んだ場所。以前「マラガでは自治体と協力し、市民にLa Foneraを配る」という話を聞いていたためだ。だが出発直前に関係者から聞いた話によると、La Foneraの配布は5月14日から。記者がマラガに着いたのは4月29日だった……
すっかりあきらめていたマラガ。ホテルに向かうタクシーで、いつものようにダメモトでmyloを立ち上げ、WIRELESS LANスイッチをスライドしていると――「FON_AP」という文字が!。一瞬目を疑った。「つ、ついに来たかっ!」。心臓をバクバクさせながら、まずは写真に撮る。その後APにつなごうとするが、もう接続できなくなっていた。写真を撮っている間にタクシーが移動してしまったのだ。くっ……
その夜も翌日も、ホテル周辺や観光地などでAPを探したが、どこにも見つからなかった。タクシーの中で見たFONは、幻だったのだろうか……
旅程は終わりに近づいている。残る目的地は、アルハンブラ宮殿のあるグラナダと、サグラダファミリアで有名な大都会・バルセロナの2つのみ。「FONにはつなげませんでした」という記事をどう書こうか、悲しい構想を始める。
5月1日。アルハンブラ宮殿の観光を終え、グラナダの街を歩き回りながら無線LANを探し続けるが、さっぱり見つからない。「仕方ない」。記者は最後の手段に出た。ネットカフェを探してFONのマップを確認し、APのある場所に行くのだ。myloというネット端末を持っている以上、ネットカフェに行くのは邪道と考え、行かないことに決めていたのだが、さすがにコトここに至ってはぐだぐだ言っていられない。
ただスペインは、記者が行き慣れたアジア各国などと比べてネットカフェが少ないようで、中心街をぶらぶら歩いていてもなかなか見当たらない。仕方ないので「地球の歩き方 スペイン」のグラナダの項に載っていた、たった1軒のネットカフェを目指すことにする。
記者はその日、アルハンブラ宮殿と街中の観光で既に数キロ歩いていた。足は痛むし、FONがつながらないことで精神的にもぐったりしている。トボトボ歩いてネットカフェを探しながら、ダメモトでmyloのWIRELESS LANスイッチをいじり、APを探し続ける。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR