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(2)イベント会場でマジックで塗るということ同人誌と表現を考えるシンポジウム(3/5 ページ)

» 2007年05月23日 11時38分 公開
[小林伸也,ITmedia]

むしろ同人誌のほうが厳しい基準

中村 書店の場合は商業誌と平行して売ってらっしゃいますよね。商業誌は商業誌の判断基準があって、専門書店売りはかなり確信犯的に修正が薄いというケースがままあるようなんですが、即売会基準はまた違うわけで、いわゆるダブルスタンダードになってると思うんですけど、その辺の対応は。

川島国喜さんメロンブックス) メロンブックスは、商業誌と同人誌とで18禁判断基準を別個に分けてます。商業誌は商業誌の判断基準で対応しており、逆に言うと同人誌のほうが厳しいくらいですね。

 性器に関してはぼかし、もしくは消しが入っていれば弊社は基本はOKです。コミケさんほど厳しくはないんですが、じゃあ性器が写ってるからといってですね、じゃあ「フランダースの犬」のネロが死んじゃう時に天使が上から降りてきますけど、あの天使の股間に何がついていたかどうか覚えてませんが、みなさん、あの天使が迎えにくる場面でもし「ついてた」として、そこにぼかしが入ってたらげんなりしませんか(会場笑い)。

 あからさまな行為に関しては修正すればいいわけで、ストーリー展開上の流れに関してですね、ぼかしとか消しとか入れたほうがいいんじゃないのと言われちゃうと、これは逆に作品見るほうのファンとしては悲しいことになってしまいます。ストーリーの展開上出てきた裸であって、ギャグマンガの中の描写で、じゃそれがエッチかどうかというと、局部描写とかもなかったらぼかす必要はないわけで、そのような形で書店も柔軟には対応しています。

 商業誌は出版社さん個々で対応していますので、こちらは入荷したものを販売して、有害図書指定などがあった場合には指定に従うという対応しか取っておりません。

 同人誌は逆にもっと細かい基準で対応しています。ガイドラインは弊社も虎の穴さんも含めて表には発信していないのですが、入荷段階で印刷所さんから来ているわけですし、「やばい作品」は表に出ないんですね。発注の段階、入荷の段階ですべてチェックし、「ちょっとこれは危ないと思いますので、ぼかしたほうがいいですよ」といった指導も個別に行っています。もしサークルさんでこれはどうなんだろうとあったら、市川さんに聞くのもよし、印刷所さんに聞くのもよし、また書店担当者に聞くもよしで、相談してみると考えるきっかけになると思います。

中村 虎の穴さんはかなり幅広く、サークルさんとコミュにケーションを密にやってらっしゃる印象がありますが、サークルさんとのコンセンサスの作り方はどのように。

鮎澤慎二郎さん虎の穴) 当社も一定の基準を設けて、その範囲内での相談というのは行ってはいます。ただ、すべてチェックしきれているのかというと、販売後に発覚したケースというのもあります。

 基本的にはクリエーターの方が作られた作品という認識でお預かりしていますので、何がまずいのか、修正部分などを直接お電話なりで相談します。どうしても納得できないというケースになった場合は、当社としてはその作品自体の販売を見送らせていただくこともあります。当社も販売者として販売責任はありますが、何よりクリエーターの方や業界が作品を今後も紹介し続けられる体制というものを意識して、1つの作品だけですべてが終わりになるということはないと思いますが、こういう世の中ですので、そういったことがないようにですね。

 販売をしてから発覚するのは最悪のケースだと考えておりますので、その前の段階、入荷後の見本誌チェックなど、二重三重のチェックを通して、漏れないようにはしているつもりではあります。今後は啓蒙活動も強化していきたいと思います。

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