高速道路で自動車事故の模様を映した映像の著作権を侵害したとして、米ニュージャージー州交通局(NJTA)がYouTubeを含む複数のビデオサイトを提訴していたことが、eWEEKの取材で分かった。
問題の映像は、NJTAのビデオカメラで記録された。5月10日、ニュージャージー高速道路を南に向かっていた車が、グレートエッグハーバー料金所に衝突するところを映している。車を運転していた同州の男性(52)は死亡した。
NJTAは、ビデオ共有サイトのbreak.comを運営するNextPointも訴えている。訴状には被告として英LiveLeak.comの名も記載されているが、LiveLeakによると、同サイトがこの映像を削除したことを受け、NJTAは自発的にLiveLeakを訴訟の対象から外した。
NJTAは、公の実演、公の展示、複製による直接的な著作権侵害と、著作権侵害の誘発、助長、代行で提訴している。
訴状では次のように述べている。「このビデオは価値ある目的で提供されたものではなく、犠牲者の家族に対する人間としての常識的配慮が著しく欠落している。それにもかかわらず、被告はWebサイトからこのビデオを削除することを拒否あるいは怠った」
訴状によると、NJTAはこのビデオの存在を知り、YouTubeからの削除を求めた。YouTubeは要求に従ったが、ビデオは既にほかのユーザーにコピーされ、同サイトに残っている。
「YouTubeは削除したと称しているが、その後ユーザーによりまったく同じビデオが再びアップロードされるのを阻止しようとしなかった」と訴状は述べている。
YouTube広報は次のように説明した。「(このビデオは)当社のサービス条件に違反していたため削除した。削除はデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく義務に従った措置でもあり、訴えられるような法的根拠はない」。YouTubeは近く、著作権者による不正利用発見と阻止を支援する自動システムを立ち上げる予定だと、米Googleのエリック・シュミットCEOは先月表明している。
LiveLeak創業者のヘイデン・ヒューイット氏によると、同社は裁判所の正式要求を受けて問題のビデオを削除した。
訴訟によって、このビデオがもっと有名になってしまうのは間違いないとヒューイット氏は言う。
「正直言って、ある種奇妙な状況だと思う。普通なら穏当で目立たない形のDMCA削除通告を個々に出すだけだ。それにこうした訴訟は、金銭が絡んだエンターテインメントビデオに関して起こされるのが普通だ。私には理解できない」
訴状によると、問題のビデオの閲覧回数は5月21日現在でYouTubeが1万9833回、LiveLeak.comが18万9037回、break.comが6933回となっている。24時間もたたない5月22日の時点では、それぞれ2万4346回、21万3295回、1万6812回になった。
NJTAは盗まれたこのビデオの配布に加担した企業と個人も訴えているが、企業名や名前は出していない。
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