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著作権法の親告罪見直し 海賊版の出品・ダウンロード違法化も検討 07年知財計画

» 2007年06月01日 18時19分 公開
[ITmedia]

 政府の知的財産戦略本部(本部長・安倍晋三首相)が5月31日決定した「知的財産推進計画2007」には、海賊版のネットオークション出品禁止や、ネットに違法公開された著作物について、ダウンロードしたユーザーも違法とすることの検討などが盛り込まれた。

 推進計画は03年から毎年策定。今回はライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテク・材料の重点4分野ごとの知財戦略策定や、コンテンツ産業の振興などを打ち出した。

 海賊版対策では、ネットオークションへの出品が「広告」と見なされ、出品それ自体は取り締まれない現状を見直し、海賊版の広告行為自体を権利侵害とすることについて07年度中に検討し、必要に応じて法整備するとした。

 著作権法違反は親告罪のため、権利者が告訴しない限り海賊版は罪に問われない。だが海賊版問題が深刻化していることを受け、「海賊版の販売行為など著作権法違反行為のうち親告罪とされているもの」について、07年度中に非親告罪の範囲拡大を含めて見直し、必要に応じて法改正などを行うとしている。

 ネット上に違法に公開された海賊版をユーザーがダウンロードしたり、海賊版CD・DVDからのコピーを、現状の著作権法が認めている「私的複製」の許容範囲から除外することも検討。「個人の著作物の利用を過度に萎縮させることのないよう留意しながら」、07年度中に結論を出す。

 また今国会で成立した、映画館での映画の盗撮を禁止する「映画の盗撮の防止に関する法律」について、周知徹底や取り締まりを官民挙げて強化する。

 コンテンツ産業の振興策では、テレビ番組のネット配信などをスムーズに配信できる仕組み作りやマルチユースを前提とした契約ルール作り、ネット上のコンテンツマーケット整備などが盛り込まれた。私的録音録画補償金制度の見直しも07年度中に行う。

 またネット検索エンジンによる検索結果表示やキャッシュ保存などが、現行著作権法では違法になる可能性が課題になっている点についても、解消するための法整備などを検討して07年度中に結論を出す。

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