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新遺伝子「時計じかけのオレンジ」 理研などが発見

» 2007年06月19日 21時02分 公開
[ITmedia]
photo 「時計じかけのオレンジ」タンパク質の構造(ニュースリリースより)

 理化学研究所は6月19日、ショウジョウバエの体内時計で重要な役割を持つ新遺伝子を発見し、「時計じかけのオレンジ」と名付けたと発表した。似た遺伝子を持つ人間の体内時計の解明につながると期待している。

 体内時計は睡眠などの生理機能に影響を与える体内の仕組みで、複雑な遺伝子ネットワークで成り立っていることが分かってきた。人間などの体内時計システムを解明するため、同じ起源ながら単純なショウジョウバエの体内時計システムの研究が世界的に進められている。

 新遺伝子の発見は、理研の発生・再生科学総合研究センターの上田泰己チームリーダーらの研究チームと、九州大学の松本顕助教、国立遺伝学研究所の上田龍教授、米国テキサス農工大のポール・ハーディン教授らの研究チームとの共同研究の成果。

photo ショウジョウバエの体内時計の設計図。左端が時計じかけのオレンジ

 研究チームは、ショウジョウバエの頭部で24時間周期で発現している遺伝子を200個見つけた。ゲノム技術を使い、遺伝子の変異に成功した137遺伝子の変異ショウジョウバエについて24時間周期の行動リズムを観察。そのうち、行動リズムが著しく長くなった変異体の遺伝子を調べたところ、体内時計を制御する重要な役割を持っていることが分かった。

 発見した遺伝子が「Orangeドメイン」と呼ばれるたんぱく質構造を持つことから、スタンリー・キューブリックによる映画化で知られる、アンソニー・バージェスの小説にちなんで「clockwork orange」(cwo)と名付けた。

 cwoたんぱく質は時計遺伝子の発現を抑える働きがあり、自分自身と他の時計遺伝子の働きをコントロールする役割があるらしい。人間にもcwo遺伝子に似た遺伝子があることが知られており、体内時計システムの完全な理解につながる成果だとしている。

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