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ブロガーの“生の声”を抽出する評判検索

» 2007年07月02日 22時50分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 リクルートと電通などが出資するブログウォッチャーは、ブロガーの生の体験談だけを抽出できるという評判検索サイト「SHOOTI」(シューティー)を7月3日に公開する。東京工業大学の奥村学准教授と共同開発したサービスで、ブログやレビューサイトなどの記事からうわさや他人の受け売りなどを排除し、本人の体験談と評価だけを抽出できるという。

 サイトには、旬のキーワードに関する編集記事も掲載して読者を集め、リクルートグループ各社の広告媒体として活用するほか、評判抽出の仕組みを、グループのサイトや他社サイトに提供する計画だ。

画像 「銀座」「ランチ」の検索結果

 ブログウォッチャーは4月2日に設立。資本金・資本準備金はそれぞれ5000万円で、リクルートが79%、電通が20%、奥村准教授が1%出資している(関連記事参照)

 SHOOTIは、ブログやレビューサイト、掲示板など約1000万の記事をクローリングし、ネットユーザーの“生の体験談”から評判を検索できるというサービスだ。例えば「銀座」「ランチ」で検索すれば、銀座でランチを食べた体験記事とその評価が、「ビリー」で検索すれば、「ビリーズブートキャンプを試した」という記事と感想がヒット。書き手が男か女かを判定する仕組みも搭載した。

 検索エンジンのベースを開発した奥村准教授は「あらかじめ作った辞書をベースに解析する従来の評判検索と違い、タネとなる辞書を少しだけ用意しておけばそれをベースにして自動で学習し、辞書が豊かになっていく」と、その特徴を解説する。

 書き込みが書き手本人の体験談かどうかを判定する仕組みは、ブログウオッチャーが開発した。文章の構文を解析し、主語や係り受けなどから誰の体験について書いているかを判断。他人の話の受け売りや、ニュースの引用などを排除できる仕組みにした。例えば「銀座で友人とランチを食べた」ならヒットするが「銀座で藤原紀香がランチを食べていた」ならヒットしないという。

 行動を正確に検索できる確率は「新聞記事なら90%程度」(奥村准教授)だが、ブログやレビューの場合はそれよりも低くなるという。

リクルートグループの各媒体で生かす

 サイトには、旬のキーワードとからめた編集記事も掲載。リクルートの編集ノウハウを生かし、グループの広告媒体としても活用していく。

画像 サイトでクイズを出題

 例えば「夏といえば思い出す漢字1文字は?」とったクイズを出題し、リクルートの海外旅行サイト「エイビーロード」の夏の旅行の宣伝に生かしたり、「ブログでみんながおいしいと言っている食べ物は?」というクイズで、クーポンサイト「ホットペッパー.jp」に集客したり――といった形だ。

 今夏からは、提供商品に関するネット上の評判を、外部サイトで表示できるASPサービスも提供する。「各サイトで独自にレビュー掲示板を構築するよりも手軽に、体験談を掲載できる」とブログウォッチャーの羽野仁彦社長は導入のメリットを説明する。まずはリクルートグループ企業のサイト内で活用するが、他社への提供も検討していく。

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