森の中を歩き、怪しい場所にモンスターボールを近づける。ボールのランプが赤く光った瞬間さっと振ると、ボールがブルっと震えてポケモンゲット!――日立製作所が開いている「日立 uVALUEコンベンション2007」(東京国際フォーラム、7月26日まで)で、センサーネットを活用したポケモンのアトラクションを紹介している。
森を再現した空間の、洞窟や草むら部分に無線基地局を設置。この基地局が「見えないポケモン」の役割を果たす。サファリ模様のモンスターボール「サファリボール」には無線受信機や発光素子、バイブレーターなどを内蔵。草むらや木の間に隠れた基地局に近づけると、周囲が明るくなったり草むらが揺れたりしてポケモンの“存在”を知らせる。
ボールが無線信号を受信してポケモンを“見つける”と、発光部が赤く点滅。基地局にさらに近づくと赤く点灯する。点灯している間にボールを振ると、ポケモンゲット。ボールが震え、緑に光ってポケモンが“中に入った”ことを知らせる。
ゲットしたポケモンデータは、基地局経由でサーバに転送。ボールのIDごとに管理されており、アトラクション終了後に、ゲットしたポケモンだけをシールに印刷してもらえる。
同社と株式会社ポケモンが共同開発し、7月15日に始まった夏休みのイベント「ポケモンパルシティ」(東京・大阪など全国6カ所で開催)のゲーム会場「ノモセシティのわくわくサファリ」で実際に稼働しているシステムで、子どもたちにも好評という。
無線プロトコルは専用に新開発し、複数のボールが1つの基地局につながっても通信性能を維持できるようにした。ボールや、ボールに内蔵した発行素子もオリジナルで開発している。
「子どもたちにポケモンの存在をできるだけリアルに感じてもらえるよう、ボールの光り方や、振り方を検知する加速度センサーの感度も工夫した。ボールに付けた3色のサファリ模様も、手作業で丁寧に塗っている」(説明員)
開発には、センサーネット担当やITシステム担当など、部署をまたがって幅広い技術者が参加。技術者にはポケモン世代の子どもの親も多く、開発にも熱が入ったという。
「開発は苦労したが、子どもの笑顔が見たくて頑張った。体験した子どもの中には『イベントの中で一番楽しかった』『もう1度やりたい』と言ってくれた子もいる。うまく捕まえられなかった子も本気で悔しがっていて、すごく素直でうれしかった。苦労が報われた」(説明員)
体験してみると、大人でも楽しい。ボールを近づけた草むらが動くと驚くし、「ここでガサガサ動いているポケモンをゲットしたい」と思えてくる。ためらいがちに参加したスーツ姿のビジネスマンも、ボールを手にしてポケモンを探し始めるとたちまち笑顔になっていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR