Linden Labの「Second Life」などの仮想世界が話題になっているが、企業はメディアの報道や熱気に乗せられずに、現実的にセキュリティやリスク管理の問題を評価しなければならない――米調査会社Gartnerは、このように忠告している。
Gartnerのアナリストは、ブランドや社会的・倫理的姿勢を気にする企業は、Second Lifeのようなコントロールされていない仮想世界に特に注意するべきだとし、「There」「Kaneva」「Activeworlds」のような管理された代替選択肢を検討することを勧めている。
同社は仮想世界が企業にもたらし得るリスクとして以下の5つの分野を挙げ、注意するべき点を説明している。
これは主に、職場のデスクトップシステムに許可されていないアプリケーションをダウンロードすることによる。仮想世界のクライアントアプリケーションがとりわけ危険というわけではないが、アップデートが頻繁だと大型アプリケーションのコントロールが難しくなる。
1人で複数のアカウントを開設し、複数のアバターを持つことが容易なため、アバター利用者の身元特定が難しくなる。これは社内コラボレーション目的で仮想世界を利用する場合に特に影響が大きい。Gartnerは対処策として、企業のファイアウォール内で運営する「非公開」仮想世界環境の利用を考えるよう勧めている。
Second Lifeなどのオープンな仮想世界では機密情報にかかわる話をするべきではない。また各国では、電子記録の保持を義務付ける法律が導入されている。こうした問題への対処策としては、非公開の仮想世界に移行したり、Forterra Systemsなどの企業向け仮想世界技術を採用することが考えられる。
ブランドや評判の問題に敏感な企業にとって、コントロールされていない仮想世界は危険に満ちている。仮想世界での活動には特に気をつけ、管理の行き届いた仮想環境での活動に限定することも検討するべきだ。
多くの企業幹部は仮想世界を娯楽と見なしており、時間とリソースの浪費だと考えている。仮想世界に慣れるまでの段階では生産性は下がるかもしれないが、その後も生産性が向上しないと考えるべきではない。すべての社員に無制限に仮想世界を利用させることは不適切であり不要だろうが、拙速な判断を下さないように慎重にトライアルを評価するべきだ。
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