「Windows Vista Capable」および「Express Upgrade」プログラムは、消費者をだまして、Vistaの最も基本的なバージョンしか動かないPCを買わせるものなのか――この問題をめぐる法廷闘争の第1ラウンドは、Microsoftの敗北で終わった。
この訴訟はワシントン州カマノアイランド在住の原告ダイアン・ケリー氏がMicrosoftを相手取って起こしたもの。ケリー氏は2006年11月に「Windows Vista Capable」のステッカーがついた新品PCを購入した。
このときVistaはまだリリースされていなかったため、顧客らはWindows XPがプリインストールされたマシンを購入し、2007年1月にVistaがリリースされたときにアップグレードできるクーポンを受け取った。
ケリー氏はその後、自分のマシンではVista Home Basicしか動作しないことに気づいた。Home Basicエディションには、新しいAeroユーザーインタフェースや高度なグラフィックなど、Vista Home Premiumエディションやほかの高額な上位エディションで利用できる「重要な」機能がない。
同氏は、Microsoftのマーケティングは消費者保護法に違反しており、不当な誇大広告で、連邦保証法に反しているとして訴訟を起こした。同氏は契約違反も申し立てていたが、その後この訴えは自発的に取り下げた。
米連邦地裁のマーシャ・ペチマン判事は8月7日、この訴訟の棄却を求めたMicrosoftの請求を退け、訴訟の続行を決定した。ただし、Microsoftが連邦保証法に違反しているかどうかの判断は保留し、約2週間後にこの問題についての判決を書面で発行するとした。
Microsoftの広報担当ガイ・エスノフ氏は判事の判断についてのコメントを求められ、次のように答えるにとどめた。「裁判所が原告の申し立てのうち1件を退けたことを喜んでいる。これから検討される申し立てについて、判事の見解を楽しみにしている。これは最初の一歩であり、この先訴訟を裁判所で検討する機会を得たことを歓迎する」
Microsoftは、ケリー氏の申し立ては、Microsoftの行為によって同氏が被害を被ったとも、同氏が「Windows Vista Capable」のステッカーに影響されたとも示していないと主張してきた。同氏のPCは、Home BasicではあるがVistaを動かすことができる、とも。
これらの申し立ては裁判あるいは和解により解決されることになるが、多くの消費者はケリー氏に同情しそうだ。
Microsoft Watchの編集者ジョー・ウィルコックスは、MicrosoftはVistaを消費者の手に届ける道すがら、何度もつまづいたと指摘する。例えば、2006年3月末にVista Capableプログラムを発表したものの、その後2カ月ほど、CapableステッカーはVistaロゴだけがついたものだった。
「消費者は『Capable』はすべてのバージョンのVistaを指していると容易に思いこんでしまう。だが、MicrosoftのステッカーはHome Basic対応を意味していたのに、それが十分明記されていなかった」
また、Microsoftが「Vista Ready」プログラム――Vista Premium対応を意味する――向けの第2のロゴを発表したのは、Capableプログラムを開始して2カ月後のことだった。Vistaのシステム要件を正式に発表したのは、Vista Readyプログラムの開始後だった。さらに同社は12月にVistaのシステム要件を若干変更したとウィルコックスは言う。
ペチマン判事は今後、この訴訟を集団訴訟として認めて、同様の状況でPCを購入したほかの消費者にもこの訴訟を拡大するかどうかを判断する。この訴訟の審理は現時点では2008年10月に予定されている。
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