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「ボトムズペンダント」「備前焼きフィギュア」――アニメの公式2次創作がアキバに

» 2007年10月05日 20時30分 公開
[宮本真希,ITmedia]

  「装甲騎兵ボトムズ」をモチーフにペンダントや、「機動警察パトレイバー」の泉野明をデザインしたUSBメモリ、「鉄腕アトム」と「やわらか戦車」が合体した「やわらかアトム」――アニメの素材を活用した新しい商品アイデアなどを募集する「アニメ・チャレンジオーディション」で選ばれた11種類の商品アイデアが、東京・秋葉原UDXで開かれている「Japan Animation Contents Meeting 2007(JAM 2007)」(10月7日まで)で展示されている。

 JAM 2007は、日本動画協会が今年初めて開催するアニメ2次創作の祭典。チャレンジオーディションは目玉企画で、ボトムズやアトム、パトレイバーなど、動画協会会員企業が権利を持つアニメやキャラクターの一部を、JAM 2007内限定で開放。2次創作の商品アイデアや企画を個人や企業から募集。メーカーやバイヤーとの商談の場を提供している。

 会場では、従来の「アニメグッズ」のイメージとは異なる新しいアイデアや、創作する個人の力に触れることができる。

「ボトムズグッズに女性向けがない!」

画像 「装甲騎兵ボトムズ」をモチーフにしたペンダントトップ

 「装甲騎兵ボトムズが24年前に放送されたときに大好きだったんです。今年DVDのレンタルが始まったのがきっかけで、久しぶりに熱い思いがこみ上げてきて、すっかりハマってしまって」――北村直子さんは、主人公のキリコ・キュービーが持っている「レッドショルダーIDタグ」をモチーフにしたペンダントトップをデザインして応募した。

 「ネットでボトムズグッズを調べても、プラモデルしか出てこなくて。『女性向けグッズがあったら』と思っていたところ、たまたまアニメ・チャレンジオーディションのことを知って応募しました」(北村さん)

 応募の条件は、4日間の開催期間中全日に参加できること。北村さんは当初、勤める会社にだまって応募したが、「さすがに4日間も会社を休めないと思って」審査に通ったことを社長に報告。「頑張れと応援してくれました」

USBメモリのコネクタ部が、顔にしか見えなくて

画像 USBメモリ

画像 アイデアの元となったUSBメモリ

 「USBメモリのコネクタ部分が顔にしか見えなくて」――キャラクター商品開発を手がけているという、静岡市の間健太郎さんは言う。大きな穴が口で、小さな2つの穴が目に見える、というわけだ。

 間さんのアイデアは、親指サイズの小さなUSBメモリを、鉄腕アトムやパトレイバーの泉野明など、アニメキャラの全身をデザインしたカバーでくるんだもの。例えば鉄腕アトムなら、黒いパンツと赤いブーツのカバーでボディをおおい、アトムの頭の形をしたキャップを付ける。キャップを外すと、アトムの体の上に「顔にしか見えない」コネクタの穴が付く。

 思いついたのは半年前。「USBメモリを使っていて、先端に空いた3つの穴が目と口に見えたのが始まり。試しに油性マジックで眉毛を書き加えてみたらとても面白くて。さらにキャップにメガネの落書きをして、周りの人に見せてみたら面白いとほめてくれて」(間さん)

画像 間さん

 コネクタ部を顔に見立てたUSBメモリがあれば欲しいと思い、量販店やネットで調べたが見つからなかったという。「だったら自分で作ろう」と思っていた時、たまたまネットでアニメ・チャレンジオーディションを知って応募した。「商品化されれば、カバーだけをガチャガチャで安く販売したり、メモリに予告編の動画を保存して販促グッズとして配る、といったことができると思う」(間さん)

 ブースに立ち寄ったある女性は「ドラゴンボールのキャラクターがUSBメモリで10体そろうなら1万円出してもいい」と話したとか。アニメキャラだけでなくアイドルグループや「電車の車掌の制服シリーズ」が欲しい、といった声が寄せられた。「USBメモリなら世界共通。海外の人にも使ってもらえるようになれば」(間さん)

フィギュアに「伝統工芸品」という付加価値を

 「フィギュアに伝統工芸品という付加価値を付けてみたらどうなるんだろうと思って」――SFアニメ「コルボッコロ」の備前焼フィギュアを出展した小島裕さんは、2004年の4月に備前焼フィギュアを発案した。

 「何か付加価値があることでフィギュアが高価になるんですよね」――小島さんは、村上隆さんが制作した美少女フィギュアが米国で38万ドルで落札されたことを挙げて言う。「たまたまフィギュアの原型を作る仕事をしている友人と、備前焼きを作っている友人がいたので、フィギュアに伝統工芸品という付加価値を付けてみたらどうなるんだろうと思ってコラボさせてみました」


画像 コルボッコロのフィギュア
画像 花瓶に入れて使うと水がきれいになるかも

 「備前の水がめ、水が腐らぬ」ということわざ通り、うわぐすりを使っていない備前焼は通気性がよく、水をきれいにすると言われているという。「例えば水槽や花瓶にフィギュアを入れてオブジェとして飾れば、普通のフィギュアにはない効果があるかも」(小島さん)

DVD見ながら絵コンテもチェック

 個人だけでなく、企業参加もある。キュー・テックは、鉄腕アトムのアニメDVDをPC上で再生しながら、絵コンテも同時に表示するソフト「絵コンテリンクDVDプレイヤー」をデモ展示。絵コンテには各シーンのイラスト、簡単な内容説明やせりふが書かれており、DVDを視聴しながら絵コンテも確認できる。

画像

 映像作品のDVDに日本語字幕を付け、耳の不自由な人などにも映像を楽しんでもらうプロジェト「web-shake字幕をつけ隊!」の技術を応用した。「絵コンテは字幕の延長線上。DVDを再生しながら、さまざまな情報を一緒に表示できます」

やわらか戦車、今度は前進

 これまで後退し続けてきたやわらか戦車が前進!?――ファンワークスは、Flashアニメ「やわらか戦車」と鉄腕アトムのコラボレーション作品「やわらかアトム」を出展している。

画像 やわらか戦車のぬいぐるみ(試作品)

 「これまでやわらか戦車は後退し続けてきましたが、やわらかアトムでは初めて前進するんです。空も飛びますし。ただ最終的には退却するんですが」(ファンワークスの紙谷零さん)

 やわらか戦車はこれまでに100以上のアイテムを販売しており、やわらかアトムも来春にはぬいぐるみなどのグッズを発売する予定。livedoor「やわらかアトム」特設ページやYouTubeのやわらか戦車チャンネルで配信を始めた。

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