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サイバードがMBO JASDAQ上場廃止に

» 2007年10月31日 18時13分 公開
[ITmedia]
画像 堀主知ロバート社長

 サイバードホールディングスは10月31日、MBO(経営陣による買収)を行うと発表した。投資ファンド・ロングリーチグループが株式公開買い付け(TOB)で同社株式の3分の2以上を取得し、最終的に100%子会社化する予定。JASDAQ上場は廃止になる見通し。

 同日会見した同社の堀主知(ほりかずとも)ロバート社長は「中長期的な成長に向けて一時的にP/L(損益計算書)をき損する大規模な投資を行う必要が出てきた。短期のリターンを求める株主の期待に応えられない恐れがあるため、MBOを決めた」と説明。「今後の投資のための前向きなMBOだ」と強調した。

 TOBは、同ファンド傘下のCJホールディングスが11月1日から12月13日まで行う。サイバードHD株式の66.67%以上の買い付けを予定し、上限は設定しない。買い付け額は1株当たり6万円で、予定総額は122億円。同日のサイバード株価は、前日比700円高(+1.32%)の5万3600円。

 JASDAQ証券取引所は同日、同社株式を監理ポストに割り当てると発表した。

 堀社長など現経営陣は、MBO後も経営陣にとどまる。

 堀社長はMBOを実施する理由について「モバイル市場が急拡大する中、今後の成長ためには広告事業や会員プラットフォーム拡大に思い切った投資が必要。短期的にはP/Lをき損する恐れが出てきた。株主には、中長期的視点・短期的視点の方がいると思うが、短期的視点の株主の期待に応えられなくなる可能性があるため、MBOを決めた」と説明する。

 詳細な投資予定は明らかにしなかったが「これまではP/Lのキャパシティが足りず、限られた予算の中で、きつきつのバランスを取りながら投資してきた」といい、株式非公開化で思い切った投資に踏み込めるとした。

 同社の株価は上場来安値の水準で推移している。ロングリーチグループチェアマンのマーク・チバさんは「現在の株価は『この会社は公開すべきではない』と語っている。投資は短期的・ファイナンス的なものではなく、中長期的なもの。戦略的に転換期にあるサイバードを支えていきたい」と話した。

 サイバードは1998年9月、堀主知ロバート社長らが創業。iモードなど携帯電話向け公式コンテンツプロバイダの草分けで、携帯電話向けネットサービスの普及に伴い業績は好調に拡大し、2000年に店頭市場(現JASDAQ)に上場。資本提携した通販会社のJIMOSと06年に経営統合。持ち株会社制に移行した。

 「モバゲータウン」のディー・エヌ・エーやミクシィといったネット企業が急成長する一方、キャリア公式コンテンツをそろえることで成長を遂げてきたビジネスモデルに頭打ち感もあり、07年3月期はJIMOSとの経営統合に伴う損失や費用の計上で、07年3月期は78億円の最終赤字に。株価も低迷していた。

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