それに対するフォローもあった。「荒らしはごく少数」。動画にはそんなタグが付け加えられ、「荒らしは気にするな」「応援してるよ」「悪意のコメントを恥ずかしく思う。ごめんなさい」といったコメントが投稿されたが、それをかき消そうとまた、中傷コメントが投げつけられた。
リールさんは振り返る。「うん……傷つかなかったといったら嘘ですね……。でも応援してくれたみんなには、ほんと、ありがとうって伝えたくて。ほめてくれたコメントもあったし、応援もうれしかった」
そしてリールさんは、動画紹介を書き換えた。「らき☆すたは、日本の友人が教えてくれたんです。韓国にもCDやDVDを売っているサイトもあります。Amazonもそうですし……」――「パクり」「犯罪者」というコメントに対して、そんなふうに説明した。
動画を投稿した理由と、フォローしてくれた人へのお礼も書き入れた。「日本のアニメが好きな人に会えるかなっと思ってうpしたんです……。もういいですから……。1人でも楽しく聴いてくれればいいんです。今日も1日、いい日になるように……。応援してくれたみんな、ありがとうございます」(表記など編集部で一部補足・修正)
アップから2カ月経った10月、この動画が急に日本で話題になった。台湾人258人がそろって日本のアニメソングを合唱したとする動画が人気を集めたことがきっかけだ。「台湾人は歓迎するのに韓国人を罵倒するニコニコユーザーはひどい」といった視点で紹介され、ブログや2ちゃんねるで取り上げられた。
この騒動で初めてリールさんの動画を知ったユーザーは、動画にアクセスし、彼女をフォローするコメントを次々に投稿。10月に新たに入った「NG機能」で中傷コメントを投稿するユーザーIDをNG設定するよう、コメントを通じて教えたりもした。
しばらくニコニコ動画を離れていたリールさん。ちょうどそのころ久しぶりにアクセスし、驚いたという。「たまたまアクセスしてみたら応援のコメントが増えてて。本当にいいタイミングでした。NG IDに、みんなが教えてくれたIDを追加しました。罵倒のコメントが消されてうれしかったです」
その後「日本人のアニメファンと友達になりたい」と、SkypeのIDも一時的に公開した。「たくさんの人が話しかけてくれてほんとうに大喜びです」
日本の一部のネットユーザーは韓国を敵視し、韓国人に対するひどい中傷を掲示板などに書き込むことがある。「韓国人も日本人が嫌いなんだろう」――「嫌韓」と呼ばれるユーザーは、そんなふうに言う。
リールさんは言う。「『○○人だから嫌い』という考え方自体が間違ってると思います。人はみんな友だちになることができるのに、何でそんなふうに考えちゃうのでしょう。人はもともと、1人では生きていけないんですから」
いつか日本に行きたいと思っている。「甘いものがすごく好きだから、ケーキバイキングに行ったり、『ハチクロ』(漫画『ハチミツとクローバー』)に出てきた観覧車に乗ったり、日本の友だちとカラオケに行きたいです」
「次回作にも期待!」――ニコニコユーザーのそんな声に応えて11月4日、3曲目もアップした。「みんな応援してくれるから、勇気を出してまた歌ってみました。あたしの歌を聴いてもらって、仲良しになりたいです!」
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