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エイベックス、映像事業に「ニコ動」活用

» 2007年11月16日 18時42分 公開
[ITmedia]

 エイベックス・グループ・ホールディングスは11月16日、不振の映像事業を構造改革すると発表した。映画公開に先駆けて関連コンテンツをDVD化して販売する「DVD First」モデルの導入や、「ニコニコ動画」などの新しいメディアの活用も図っていく。

 同社は2005年4月に映像事業に本格参入。音楽事業に次ぐ収益の柱に成長させる計画だったが、2008年3月期は30億円の営業赤字になる見通しで、累計損失は75億円に上る見込み。構造改革で10年3月期の営業黒字転換を目指す。

 新しいビジネスモデルとして「DVD First」戦略を導入する。映画化を前提とした上で、劇場公開前に映画と連動したDVDを発売するモデルで、映画会社がプロデュースする映画と異なり、自社流通機能を活用したビジネスを構築できるのが特徴という。

 DVDと映画の同時製作によるコスト削減効果や、先行DVDによる映画のプロモーション効果も見込めるとしている。

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 また、持分法適用会社・ドワンゴ子会社が運営する「ニコニコ動画」など、グループのメディアをを活用した「ニューメディア・モデル」の確立も図っていく。

 一方向の情報伝達にとどまるテレビなどの従来型メディアに比べ、ターゲット視聴者に応じた展開が可能な上、ネット上で視聴者間の話題作りも可能になる点に着目。原作・企画の発掘からターゲット向けのピンポイントなプロモーション、話題作り、劇場公開済みコンテンツのネット配信などにニコニコ動画などを活用していく。

 既にニコニコ動画で、エイベックス・エンタテインメントが権利を持つアーティストのプロモーションビデオ配信が始まっている。

アニメ分野も改革

 アニメ分野は、現状ではテレビアニメが中心。だがDVD化モデルがDVD化権の高騰で収益性が悪化した上、DVD発売元から仕入れて販売するスキームの導入も収益性向上には貢献しなかった。オリジナルアニメの制作も実績に結びつかなかったという。

 今後はテレビに加え、映画も強化。DVD化モデルは出資比率を抑え、コンテンツを絞り込むなどして安定した収益基盤化を図っていく。有力スタジオと共同で、アジア市場も視野に入れた作品のプロデュースもしていく。

ニコニコ効果で巨額損失が一転含み益に

 エイベックスはドワンゴ株式の約20%を保有する筆頭株主。ドワンゴの株価が低迷し、中間期末の9月28日時点で10万9000円と取得額の半分以下になったため、中間決算では評価損57億8800万円を計上する予定だった。

 ところがその後、ニコニコ動画への期待を背景にドワンゴ株価が急上昇。11月15日の終値(39万1000円)ベースでは逆に57億4500万円の含み益ができた。今後も株価は堅調に推移すると判断し、評価損の計上を取りやめた。

 16日のドワンゴ株価は、市場が全面安の逆行して高騰。前日比4万6000円高(+11.76%)の43万7000円だった。

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