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米上院議員、GoogleのDoubleClick買収の徹底調査を要求

» 2007年11月21日 16時04分 公開
[Roy Mark,eWEEK]
eWEEK

 米上院司法委員会の反トラスト・競争政策・消費者権利小委員会の委員長が連邦取引委員会(FTC)に、Googleが計画している31億ドルでのDoubleClick買収について慎重な対応を促した。

 買収が成立すれば、オンライン広告の大手2社が統合することになる。GoogleのテキストベースのAdSense事業はクリッカブルリンクをベースにしており、DoubleClickの技術は人気オンラインサイトでターゲットバナー広告などディスプレイ広告の表示に利用されている。

 「この買収によるインターネット広告市場、そしてインターネット全体への影響は甚大であり、広範囲に及ぶ可能性がある」と、同小委員会のハーブ・コール委員長(ウィスコンシン州選出・民主党)と共和党の筆頭議員オリン・ハッチ氏(ユタ州選出)は11月19日付のFTCへの書簡で述べた。

 9月に行われたこの買収に関する上院の公聴会で、Googleの最高法律顧問デビッド・ドラモンド氏は、この取引は、ほかの企業をオンライン広告市場での競争から排除するものではないと語った。ドラモンド氏は、Microsoftが60億ドルを投じたオンライン広告会社aQuantiveの買収(FTCの認可を得て既に完了)、Yahoo!のRight Media買収、AOLによるAdTechおよびTacodaの買収を引き合いに出し、これらはオンライン広告市場の活力の証しだと述べた。

 「われわれはこの案件について最終的な結論に達していないが、FTCが、この買収がインターネット広告の競争を実質的に抑制することはないと判断した場合にのみ、買収を認可することを要請する」と両上院議員は書簡で述べた。

 また、コール議員とハッチ議員は、GoogleのDoubleClick買収によるプライバシーへの影響に懸念を表明した。インターネット広告会社はインターネットユーザーの個人的好みを追跡し、個々のユーザーのWebサイトへの訪問履歴や検索の履歴に応じて広告を配信するからだ。

 「われわれはこの買収が、本格的な調査に値する、消費者プライバシーの根幹にかかわる問題を呼び起こすと考えている」と両議員は書簡で述べた。

 下院の商業・貿易・消費者保護小委員会の共和党議員らも、同小委員会のボビー・ラッシュ委員長(イリノイ州選出・民主党)への11月6日付の書簡で、GoogleのDoubleClick買収に懸念を表明した。共和党議員らはラッシュ委員長に、この買収に関する公聴会の開催を求めた。

 「政策担当者はGoogleの意向を、われわれより詳しく把握している必要があると思われる。事実をつかむための正式な公聴会を開くのが妥当だろう」とジョー・バートン下院議員(テキサス州選出・共和党)は声明で述べた。

 米電子プライバシー情報センター(EPIC)、米Center for Digital Democracy(CDD)、米公共利益調査グループ(US PIRG)の3団体は、GoogleがDoubleClick買収計画を発表した直後の4月20日、FTCに申立書を提出し、Googleは買収により、インターネットユーザーの行動を「記録、分析、追跡、プロファイリングする」絶大な能力を手に入れると主張した。

 「GoogleがDoubleClickを買収すれば、1つの会社が消費者のインターネットでの行動に関する情報を、ほかのどの会社よりも豊富に入手できるようになる」と3団体は申立書で述べた。「しかも、Googleは、同社が収集する個人データのプライバシー、セキュリティ、正確さを保証する法的義務を、事実上何も負わずに営業することになる」

 Googleの副法務責任者ニコル・ウォン氏は4月20日に声明を発表し、この申し立てには「事実や法律の裏付けがない」と述べた。ウォン氏は、この申し立てでは、「一般に認められているプライバシー基準を満たしていない具体的な事項は、一切示されていない」と指摘した。

 コール議員とハッチ議員がFTCに書簡を送ったことを受け、Googleの広報担当者は次のように述べた。「われわれは既にFTCに協力して、この書簡で提起されているそれぞれの疑問の解消に努めている。われわれは従来同様、FTCが『この買収は消費者、広告主、Webサイトパブリッシャーにとってプラスになる』という結論を出すと確信している」

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