米Yahoo!はWebのさらなる「ソーシャル化」「モバイル化」を目指す2方向攻撃で、GoogleやFacebookなどのインターネット企業に奪われた輝きを取り戻すつもりだ。
同社はこの2つの分野に力を入れることで、ユーザーがオンラインで探すあらゆるものへの出発点としての地位を固めようとしている。共同創設者でCEOのジェリー・ヤン氏は1月7日、Consumer Electronics Showで聴衆に向けて語った。
同氏は、コードネームで「Inbox 2.0」と呼ばれる次世代Yahoo! Mailのテスト版をプレビューした。このサービスは、Yahoo!と複数のSNSにおけるユーザーの最も重要な人間関係を判断する。最も重要な人から送られた最も重要なメッセージに高い優先順位を付けるスマートなアプリケーションを、2億5000万人を超えるYahoo! Mailユーザーに提供するという考えだ。
ヤン氏のプレビューでは、同氏の電子メール、インスタントメッセージ、ボイスメール、携帯メールに加え、天気情報、ニュースの見出しが表示された。「simplify your inbox」ボタンをクリックすると、Yahoo!だけでなくMySpaceやLinkedInでの同氏の交友関係すべてを見ることができた。
Yahoo!アカウントをクリックすると、Yahoo! Mailはヤン氏のやり取りの頻度を基に、妻やYahoo!上級幹部など、最も重要な相手を最初に表示した。Yahoo!アカウントページに戻ると、送信者の重要度に従ってランク付けされたメッセージ一覧が現れた。
電子メールのソーシャル化は理にかなっている。電子メールはFacebook、Plaxo、LinkedInなどのSNSの主な保管庫になっており、友人、家族、仕事関係を包含しているからだ。Yahoo!は電子メールとソーシャルな人間関係を融合して、ユーザーをYahoo!に引き留めて活動させることを考えている。
米Forrester Researchのアナリスト、ジェレミア・オーヤン氏は、Webメールに人間関係の「接着剤」となるような機能を持たせれば、イベント、写真、インスタントメッセージング(IM)、電子メールから離れて孤立している製品の架け橋になり得ると話した。
「主なコミュニケーションを集めて、Yahoo! Mailプラットフォームにまとめることで、1カ所にすべてを集中させて付加価値を加える機会がユーザーにもたらされる」とオーヤン氏は8日にeWEEKに語った。「Yahoo!の課題は、こうした機能を徐々に取り入れ、ユーザーを教育し、柔軟に対応することだ。ユーザーが慣れ親しんだコミュニケーション習慣を変えるのは時間がかかる」
Yahoo!はまた、Webメールアプリケーションを開放して、サードパーティーや開発者が対応アプリケーションを開発できるようにするつもりだとヤン氏は述べた。プレビューでは、Yahoo! Mailの画面の右側には同氏のアカウントが、左側にはYahoo! MapsやeBay、MTV、Eviteの外部ガジェットなど、マッシュアップできる多数のアプリケーションが表示されていた。
同氏が、Yahoo!の共同創設者デビッド・フィロ氏からのディナーの招待メールを受信箱からYahoo! Mapsにドラッグ&ドロップすると、レストランの場所だけではなく、評価などの情報も確認することができた。フィロ氏のプロファイルのプレビューや、食事の好みも表示された。
このマッシュアップはそれから、ヤン氏のソーシャルグラフ内の関連する人々を同様に判断して表示し、同氏はそのプロファイルをYahoo! Mailに統合されたEviteアプリケーションにドラッグ&ドロップして招待状を送った。
Yahoo!がFacebookの幸運――ユーザー向けウィジェットを開発している多数のプログラマーを抱えている――にあやかれれば、ユーザーをYahoo!に呼び込んで、広告をクリックしてもらえる可能性はたっぷりある。
Gilbane Groupのアナリスト、ジェフリー・ボック氏は、Yahoo!は重要なことを知っていると語る。電子メールの利用は、1対1あるいは1対多のコミュニケーションを中心に形成されているからだという。
コンシューマーに対しては、Yahoo!はほかのアドレス帳や予定表を統合して、保護者がプレイグループを組織したり、子供の誕生会を開いたりできるようにするかもしれないとボック氏は言う。ただし同氏は、電子メールは、それを利用する組織のプライバシーを保障しなくてはならないと指摘する。
「Yahoo!に必要なのは、どうすればソーシャルコンピューティングが日常生活を便利にできるかを全体的に考え直すことだ」(同氏)
長期的には、Yahoo!はこのWebメールのマッシュアップ対応を、同社が攻勢をかけるもう1つの主な分野であるモバイルに移すかもしれない。同社は先に、「Mobile Developer Platform」とモバイルサービス「Yahoo! Go 3.0」、デザインを一新したモバイルページを発表した。
Yahoo!のモバイルソフトへの取り組みには、AppleのiPhoneなどのほとんどのWeb対応携帯電話や、GoogleのAndroidプラットフォームを含むあらゆるWeb OSで使えるウィジェットや軽量アプリケーションをコンシューマーに提供する計画も含まれる。
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