最近Googleから上級幹部やプロダクトマネジャーが去ったことは、町一番のヒップな企業が官僚主義に取って代わられつつあるということなのだろうか?
Googleウォッチャーやハイテク業界のリクルーターは「ノー」と答えつつも、これはGoogleが検索やその他のインターネット市場に押し進んでいく中で、克服しなければならない課題だという点で意見を一にしている。
元Googleのヘルスアーキテクト、アダム・ボスワース氏、スペシャルイニシアチブ責任者クリス・サッカ氏、設計者のケビン・フォックス氏、ニュースプロダクトマネジャーのネイサン・ストール氏、B2Bバーティカルマーケットディレクター、デビッド・ハーシュ氏など何人かが、9月以来、新たな機会や挑戦を求めてGoogleを去った。
数カ月のうちに数人の優秀な人物が去るというのは、Googleにとってはあまりなかったことだが、短期間のうちに1万6000人以上に社員を増やした企業には特有のことだ。
「Googleは大学カルチャーのような感じで始まった。われわれは、一部のGoogler(Google社員)が卒業し、社外のほかの関心を追求するであろうことを理解しているし、予測している」とGoogleの広報担当マット・ファーマン氏はeWEEKに語った。「個々人にとって、当社にとって、そしてコミュニティーにとっていいことだと考えている」
米人材スカウト会社Yohの戦略・マーケティング責任者として、優秀な人材を技術、研究、医療、エンジニアリング職に就けているジム・ランザロット氏は、こうしたGoogleからの離職は、同氏が言うところの「スーパーボウルシンドローム」の一例だと語る。
「スーパーボウルの勝者が、情熱あるいは金を追求すると言い出すのを、何度目にしたことか」(同氏)
同氏は、次の大きな波を起こしたいという欲求は、多くのシリコンバレーの優秀な技術者のDNAに刻まれていると言う。Googleは、これら幹部の力で大きくなった新興企業だったかもしれないが、彼らはハイテクの戦場でさらなる栄光を渇望している。
GoogleやFacebookのようなサクセスストーリーともう2〜3度かかわるチャンスは見過ごせないほど魅力的だ。また一部の人は、単にまったく新しい挑戦を始めたいという理由で辞める。プロダクトマネジャーとしてGoogleを成長させた人は、退職して自分自身のショーを開きたいと感じるかもしれない。
Search Engine Landのダニー・サリバン氏も同じ見解だ。同氏は、最近の幹部流出は非常に自然な進展であり、Googleの向こう数年の最大の課題の1つだとしている。Googleはもはや新興企業ではなく、それはつまり、社員が金持ちにもなれないし、新興企業並の急速な製品開発ペースもないということだ。
「Googlerの大多数はまだGoogleをエキサイティングで給料のいい、クールな職場だと考えていると思うが、人々が望む『ロックスター』的な人材は探しているステージを見つけられないかもしれない」(サリバン氏)
Googleの人材流出には似た先例がある。シアトルで元Microsoft社員のいないハイテク企業を探してみるといい。かつてMicrosoftで活躍した才能があれば、健全な事業を築くことができるだろう。
それこそが、企業が大成功を収め、一部の社員がその成功を再現したいという欲求に飲まれたときに起きることだ。
ハイテク業界に限ったことではない。ランザロット氏は、医薬品研究者も結局は、大手製薬会社は時とともに官僚主義的になりすぎるという理由から、ベンチャー資金による新興バイオテクノロジー企業か研究機関に行き着くと語る。
官僚主義が高まっている様子は、Googleではちょっと見つけにくい。社内では社員と同様に、犬もカフェテリアからカフェテリアへと歩き回って無料の食事や子供のオモチャのようなもので遊んでいる。
Forrest Researchのシャーリーン・リィ氏は、Googleはこれまで同様に自由だとし、プロダクトマネジャーは今も必要なことができる裁量をかなり与えられていると述べている。
だが、Googleが成熟するにつれ、Googleでの自由は新興企業だったときほど素晴らしいものではなくなる可能性が高く、1つの場所に長くいる社員には、もっとうまみのあるストップオプションは言うまでもなく、新しい挑戦や視点が必要になるかもしれないとリィ氏は指摘する。
退職する社員1人に対し、その穴を埋めたがっている人が10人以上いることは確実だ。「募集している数よりも、Googleで働きたい人の方が多い」(同氏)
退職するGooglerにとってうれしい知らせがある。「Googleの名前が履歴書の一番上に書いてあれば、採用担当者が殺到してくる」とランザロット氏は言う。「Googleはまだホットな企業だ」
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