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本当に出会えるの? 「結婚サイト」の表と裏(2/3 ページ)

» 2008年02月13日 12時35分 公開
[西川留美,ITmedia]

 まずは基本的には大手がよいと思います。大手のいいところはサクラがいないこと。「サクラがいる」という噂が立てば、この業界では命取りですから、さすがに大手はそういうことはしていないです。あとは実際に利用したことがある友人などに紹介してもらったところがよいでしょうね。

 ――大手といってもいろいろありますが。

 確かにそうですね。例えば上場してる会社だったり、大企業の傘下だったりするとさらに安心ですかね。

 心配であればネットの口コミを調べてみてください。「2ちゃんねる」にも、わりと私の実感に近い情報が出ている気がしますね。あとは消費者センターに苦情が多く寄せられていないかどうかを調べてみるのもいいでしょう。

 ――ほかにはどんなポイントがありますか。

 確認可能であれば、その会社のサービスに関して(1)会員の本人確認証明を取っているか、(2)写真掲載率(高いところのほうがよい)、(3)男女比(男女のバランスがよいほうがベター)、(4)会員数(延べ人数ではなく実人数)を調べて下さい。これらは優良な業者であれば開示するはずですので、事前にサポートメールなどで問い合わせてみるといいと思います。

 ――なるほど、それで安全性を担保しているのですね。

 はい。この商売で大事なのは結局は「信頼」ですから。

 ――ところで、Aさんのように結婚情報サービスに携わる中の人たちというのは、どうやって社内で評価されるんですか? 成婚率でしょうか?

 いや、成婚しようがしまいが個人的には関係ないです。

 ――関係ないんですか?

 そりゃそうですよ。会社的には会員が増えればそれでいい。でも成婚率が低いと会員は増えませんから、いろいろと出会うための企画を仕掛けるというわけです。

 結婚相談所だと成婚料(結婚したときに払う料金)で成り立ってますから、結婚させる必要が出てきます。ここの差は大きいですね。

 ――どういう料金体系だと会社としてはもうかるのですか。追加料金のかかるオプションをいっぱい使ってもらったほうがいいのでしょうが。

 オプションを使ってもらうというよりは、月会費や年会費のように、確実にお金を落としていただくやり方が一番もうかりますね。

 例えばビデオショップで「○○円で毎週1本DVDが届きます」とかいうサービスがあっても、実際全員が毎週は見るわけではないでしょう? ああいうサービスは基本的に利益が出やすいんです。

 それと同じで、会員が活動してもしなくても課金できるようなサービスは、こういうものに限らずもうかります。結婚情報サービスに入会する人は、会員になって、そんなにすぐにやめることはないので利益は出ますね。みなさん平均して1年くらいは続けるかな。3年で長い方かと。

 ただ、長い期間ずっと登録しっぱなし、という人は避けたほうがいいですね。

 ――なぜですか?

 幽霊会員や結婚をあきらめている人というケースもありますが、結婚ではなく「遊ぶことが目的」という悪質な会員である場合があるからです。気をつけてください。

 ――ちょっと怖いですね。ではサクラがいるサイトの見抜き方は?

 まず、男性と女性の比率を見てみてください。普通は男性が女性よりも多くなってしまうものですから、例えば男性1:女性9の割合を公言しているサイトがあったとしたら、それはサクラを疑ったほうがいいです。

 また、お見合いパーティーの場合だと、パーティー慣れしている人はかなりの確率でサクラです。敵情視察として行ったあるパーティーで、私は自己紹介のときに「結婚情報関係の仕事に就いています」と言ったのですが、後で「あなたもサクラですか?」と言ってくる人がいましたね(笑)。

 一方、ある女性から聞いた話にこういうのがありました。パーティーが終わり、男性だけ帰された後、女性だけが会場に残ったらしいんですが、その後彼女たちの多くは口々に「お疲れ様」といって帰っていったそうです。実はみんなサクラだったと(笑)。

 ――悪質ですねえ。では、逆に賢い利用の仕方ってありますか?

 そうですね……。例えば、カップルが成立した後も相手を探すとか。

 ――え!二股ですか?

 二股も三股もいますよ。もちろん相手を確定する前の段階でのやりとり、という意味ですけれど。結婚をしたいという真剣な方は慎重ですから、複数の方と同時にやり取りしているケースは意外と多く見受けられます。それで、本当に結婚したい人と出会えたらめでたく退会、という流れですね。

 ――そういうものなのですか。ちなみに「こういう人はどうやっても結婚は無理」という人っているんですか?

 正直、いますね。

 ――!どんな人なんですか?

 男性だと、学歴がない、無職、ルックスがいまいちというケースですね。とくに結婚相手ですから、職がないという人は選び辛いのかと。申し込みに差がつく要因としては、まずは「収入」。あとは「喫煙の有無」でしょうか。喫煙者が嫌いな人も多いですから。

 ――生活と直結する部分が影響しやすいようですね。では、女性の場合はいかがですか?

 結婚できないというわけではありませんが、20代と30代だと申し込みの数が倍くらい違ってきます。私がプロフィールを見てみると「良さそうな女性だな」と思うような内容でも、残念ながら30代だと検索条件から外されてしまうのかもしれません。

 そういうこともありまして、男女ともにですが、自分で行動しない人はダメなんです。出会えない。ああいうサービスは、「入会さえすれば待っているだけで誰かから連絡があるだろう」と思っている人がかなり多いのですが、実際のところ自分から動いた人のほうがうまくいっています。

 ――なるほど。なかなか見つけてもらえない人の中にもいい人はたくさんいるわけですね。でもそういう人たちはどうしたら第1段階で良い部分をアピールできるんでしょうか。

 だからこそプロフィールを丁寧に作ることがとにかく大切なんです。

 例えばプロフィールの写真はちゃんとした写真館で撮ってもらうべき。スナップ写真や、まして家の冷蔵庫の前でよれよれの普段着で撮った生活感満点の写真が掲載されていたら、そんな人に交際を申し込む人はいません。だって結婚に対して切実さが感じられないでしょう? 第一印象はプロフィールがすべてですから、手を抜いていて結婚なんてできるわけないんです。

 ――なるほど、切実さが必要だと。これは勝手な想像ですが、あんまり気合が入ったプロフィールだと引かれそうだと思っていたのですが。

 それは誤解です。丁寧に書けば書くほどいい。だって探しているほうも真剣ですからね。例えば、何らかの資格を持っているなら、証明書の実物を掲載するくらいしないと。どれだけ信用してもらえるか、真剣さが伝わるかが勝負です。

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