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Yahoo!への買収提示価格は「適正」――ゲイツ氏が表明

» 2008年02月20日 15時00分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftの会長兼チーフソフトウェアアーキテクト、ビル・ゲイツ氏が2つの報道機関に、同社は競合するYahoo!に対する1株31ドルでの買収提案を堅持していると語り、この買収提示価格は「適正」との見解を示した。

 「われわれは、これは適正な提案だという立場をあくまで貫いている」とゲイツ氏は2月18日、Associated Pressの取材に対して語った。「彼らはこの提案を真剣に検討すべきだ」

 また、ゲイツ氏はReutersの取材に対し、MicrosoftはYahoo!との合併の成否にかかわらず、検索・オンライン広告市場への注力を継続し、これらの分野のリーダー企業で市場シェアの高いGoogleに対抗していくと語った。Googleは検索市場で約60%のトップシェアを誇り、オンライン広告で年間160億ドルを売り上げている。

 これらの発言は、Microsoftが1月31日に提示した446億ドルの買収価格を引き上げず、代替策として、Yahoo!の取締役を追放するために同社に委任状争奪戦を仕掛ける可能性があることを示唆している。DealBookはMicrosoftの計画に詳しい筋の話として、同社が今週、Yahoo!に対する委任状争奪戦を開始すると報じた。

 Yahoo!は2月11日にMicrosoftの買収提案を拒否し、Microsoftが業績不振の同社の価値を「大幅に」過小評価していることを理由に挙げた。これに対し、Microsoftはあらゆる必要な手段を講じてYahoo!買収を目指すと明言した。同社が取り得る手段としては、買収価格引き上げや委任状争奪戦などがある。

 委任状争奪戦のコストは、数十億ドルではなく数百万ドルで済みそうだ。コストの大部分は、委任状を勧誘するための要員の人件費や、買収の費用対効果分析を盛り込んだ勧誘資料をYahoo!株主向けに作成、配布する費用だ。

 しかも、Yahoo!の10人の取締役は全員、今年6月に開催される次回の年次株主総会で改選されるため、Microsoftにとっては取締役の総入れ替えを図りやすい。

 業界専門家は、Microsoftは買収価格を引き上げずに済むかもしれないと考えている。Yahoo!を救うホワイトナイト(友好的な第三者)が現れていないためだ。Yahoo!はGoogleやNews Corp.、AOLなどの企業と提携に向けて交渉していると報じられているが、これらの交渉は実を結んでいない。

 Yahoo!の第2位株主のLegg Masonは、Yahoo!の価値を1株40ドル程度と評価したが、この評価に基づくと、Yahoo!の買収価格は500億ドルを超えることになる。

 Microsoftは、Yahoo!買収のために資金の借り入れを行う可能性があることを明らかにしているが、それほど多額の資金投入は望んでいないとされている。しかし、MicrosoftはGoogleへの追い上げを図っているだけに、Yahoo!買収に必要なあらゆる手を打つというのが大方の見方だ。

 一方、中国の電子商取引会社Alibabaが、Yahoo!買収をめぐる動きに対して強い働き掛けを行う考えをReutersに語っており、このことは事態をさらに複雑にするかもしれない。Yahoo!はAlibabaの株式の39%を保有している

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