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ひろゆき氏、新ニコ動は「あさっての方向に進化」(1/2 ページ)

» 2008年03月05日 21時45分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 記者会見に参加した500人のユーザーからの歓声に包まれたひろゆき氏

 「みんなが想像している方向に行っても、仕方ないじゃないですか」――ニワンゴ取締役の西村博之(ひろゆき)氏は3月5日、同日リニューアルした「ニコニコ動画 SP1」の発表会見で、ニコニコ動画の進化の方向性についてこう話した。ニコ動は、ほかの動画共有サイトにはない機能を追加し、「独自の進化」を目指していくという。

 SP1では新たに、ユーザー向けの公式動画作成ツール「ニコニコムービーメーカー」の無償配布を始めたほか、動画にインタラクティブ機能を追加できる「ニコスクリプト」を強化。ユーザーが一斉にゲームをプレイできる機能も「ニコ割」に追加するなど、他社サイトにはない独自機能を多数盛り込んでいる(→新機能に関する詳細記事)。

 同時に、初心者用のチュートリアルページを新設するなどユーザーのすそ野を広げ、間口の広いサービスを目指す。

 また、同日からH.264に対応。従来よりも高画質な動画を楽しめるようになった。投稿は有料会員「ニコプレミアム」限定だが、閲覧は視聴は無料会員でも可能だ。

ライトユーザーに優しく、動画作成をもっとカジュアルに

 SP1の新機能は、ライトユーザーがより参加しやすく、オリジナルの動画を作成・投稿しやすい仕組みづくりに力が注がれている。

画像 ニコニコムービーメーカー

 新たに「初心者用ページ」を開設。コメント投稿のしかたや動画の探し方、ニコニコ市場の利用法などを動画で解説する。初心者にも扱いやすい動作作成ツール「ニコニコムービーメーカー」と「ニコニコニュースメーカー」も提供する。

 ニコニコムービーメーカーは、「Singer Song Writer」で知られるソフト会社・インターネット(大阪府吹田市)と共同開発した「誰でも動画を作れるツール」で、ニコニコ向けに特化したswfファイルを作成できる。「インターネットって会社、うさんくさい名前だなぁと思ってたんですが、今日社長に聞いてみたら、創業は1990年で、インターネット以前らしんです」とひろゆき氏はトリビアを披露する。


画像 ニコニコニュースメーカーの入力欄
画像 ニコニコニュースメーカーで作成したニュースの例

 ニコニコニュースメーカーは4月に公開予定。Webブラウザ上でテキストを入力し、「笑顔」「バイバイ」など動きを選ぶだけで、3Dのキャラクターがテキストを音声で読み上げるニュース風動画を自動作成できる。

 動画にインタラクティブな機能を追加する「ニコスクリプト」も、従来より使いやすく改良。動画内にクリック可能なボタンを設置する「@ボタン」といった新機能も、13日に追加する。「ニコスクリプトは他サービスにはない機能。利用のハードルが高くてあまり使われていないが、使いやすくしてもっと伸ばしていきたい」(ひろゆき氏)

 ユーザーのプロフィール画面も新設した。自己紹介や生年月日、性別、住んでいる地域などを公開し、ユーザーの“顔”が見えるようになった。ニコニコ動画を外部ブログに埋め込める機能も新たに作成。ニコニコ動画へのログインなしで、ブログから直接動画を視聴できる(コメント投稿はニコニコ動画サイト内のみ)。

「ウザい」ゲームも追加

画像 ニコ割ゲーム

 視聴中の動画を強制的にストップし、CMなどをリアルタイムに同時配信する機能「ニコ割」は、「さらにウザくなります」(ひろゆき氏)。動画表示部分で直感的に遊べるFlashゲーム「ニコ割ゲーム」を一斉配信する。不特定多数のユーザーが同時刻に同じゲームをプレイし、成績ランキングを競い合える。

 ニコ割ではこれまで、動画直上のバナー部分のみで広告配信していたが、今後は動画表示画面にも広告を配信する予定だ。「ユーザーさんはウザいと思うかもしれない。でも、テレビCMも、ウザいという点もありながら、面白いものもある。デメリットとメリットはくっついて回るもの。全体を楽しんでもらえれば」(ひろゆき氏)

画像 「ニコニコ市場」に陳列された携帯電話向けコンテンツをユーザーが購入すると、購入したユーザーと、購入したコンテンツ名などを全ユーザーに“速報”する「電光掲示板」機能は、ECサイトのスポンサーを募集中だ

 ニコニコ動画の情報をまとめたサイト「ニコニコ大百科」も4月に公開予定。投稿動画やニコニコ発の新語などについてユーザーが編集でき、動画を貼り付けることもできる“ニコ動専門Wikipedia”のようなイメージだ。「ほうぼうでご迷惑をおかけしたニコニコブックマークが、改心して生まれ変わりました」(ひろゆき氏)

ユーザーと一緒に盛り上げたい

 「ユーザーと一緒にお祭りを進化させていきたい」――ユーザー参加型イベントにも注力する。ユーザーからオリジナル動画作品を募集し、ユニークな作品に賞を授与する「国際ニコニコ映画祭」は、動画の募集期間を10日から1カ月に延長したり、落選動画を「ニコ割」でも発表するなど、盛り上げるための取り組みを進める。

 「一般の人が面白いと評価する動画はニコ動で見つけられる。映画祭は、ニコ動ユーザー“以外”の価値観を持つ人が動画を評価すると面白いのではないかという狙い。しかし『審査員が勝手に優秀作品を決めている』という感じもあったから、ユーザーと審査員の距離を縮めていきたい」(ひろゆき氏)

 動画をライブ配信するニコニコ生放送は、現在は1000人まで同時接続できる「ニコニコ県民会館」だが、今後2000人の「ニコニコ公会堂」(仮、以下同)、4000人の「東京国際ニコラム」、7000人の「ニコ道館」、1万人の「ニコニコ第一体育館」と、収容人数を増やしてく計画。年内には1万人規模にしていくという。

 リアルイベントも実施する。今回、SP1の記者発表会もユーザー500人を招待したが、次期版「ニコニコ動画(夏)」の発表会は、2000人招待する予定だ。「ニコニコ大会議2008」と題し、7月4日にJCBホール(後楽園ホール)で行う。

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