米Adobe SystemsのFlashフォーマットはAppleのiPhoneには適しておらず、今のところ、iPhoneでFlashをサポートするつもりはない――。米Appleのスティーブ・ジョブズCEOは3月4日、同社の年次株主総会でそう語った。
Flash Playerでは、動画をストリーミング再生したり、アニメーションやインタラクティブコンテンツを表示したり、入力フォームなどクライアントサイドのデータを処理したりすることができる。だがこうした機能はいずれも高いCPU処理能力と大量のメモリを必要とするため、現在市場に出回っている大半の携帯端末には負担が重過ぎる。
ジョブズ氏はそうした状況を踏まえ、現行版のFlash PlayerとiPhoneの組み合わせについて、「Flashは動作が遅過ぎて実用的でない」と発言したのだろう。この発言をめぐり、一部では、ジョブズ氏がAdobe製品を批判したかのように報じられているが、実際にはジョブズ氏は特に攻撃的な言葉を発したわけではない。
Adobeはモバイル端末向けにはFlashを奨励しておらず、代わりに「Flash Lite」を提供している。Flash Liteは日本で最初に投入された。
AdobeのMacromediaモバイル&デバイスチームのアヌープ・ムラーカ氏は最近、ブログで次のようにコメントしている。「2003年に販売された携帯電話のうち80%はMacromedia Flash Playerをサポートするだけの十分なメモリや処理能力を備えていない。Flash Playerをサポートできる端末の中でも、Macromedia Flash 5やFlash 6をすべて完全にサポートできるものはごくわずかだ。できるだけ多くの消費者に利用してもらえるよう、モバイル&デバイスチームはFlash Liteではあえて機能性よりも普及性を重視した」
現在Windows Mobileベースの多数の携帯電話がFlash Liteをサポートしているが、Flash Playerの現行版はサポートされていない。ただし、Flash LiteとFlashは別物だ。Flash LiteはFlashランタイムのサブセットであり、通常のWebサイトのFlashコンテンツは再生できない。Flash Liteコンテンツを再生するためにはFlash Lite対応のクライアントが必要だ。
Appleとジョブズ氏は常々、「インターネットにアクセスできる製品」としてiPhoneをアピールしているが、これはつまり、アクセスがWebページのモバイル版に限定されている従来の携帯電話用ブラウザと異なり、iPhoneに搭載される「Safari」ブラウザはフル装備のWebブラウザだという意味で言われていることだ。
iPhoneでFlash Liteをサポートするとしたら、コンテンツ開発者はページを複数バージョン作成しなければならず、iPhoneユーザーはFlash Lite版のWebページ(限定的なコンテンツしか提供されない)に転送されることになり、それはAppleのマーケティング方針に反することになるだろう。
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