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» 2008年05月13日 10時55分 UPDATE

おもしろさは誰のものか:違法と合法の敷居があいまい──作り手から見た「YouTube」、ガイナックスに聞く (3/3)

[取材・文:堀田純司 写真:金澤智康,講談社Moura ザ・ビッグバチェラーズニュース]
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 アマチュアのガレージキットではこんな遊び要素の強いものを許諾しているのに、メーカーの我々にはなぜダメなんだ、こんな服装の、こんなポーズの綾波をつくっちゃいけないんですかと、ときどきうかがいますけど、それは適用する方針がぜんぜん違うんです。

 よくね、矛盾しているみたいにとられていると思うんですけど、やっぱりファンの方が、自分でガレージキットの原型をつくるのは、ただ作品を観るよりもはるかに労力がかかるわけですよ。そこまでやってもらえるのは、よほど愛情が強くないとできないですよね。そうした方々の支持には、やっぱり断然応えたいと思うわけですよ。

 まあ、僕ら自身がファン活動から出てきた、っていうのがいちばん大きな要因だと思いますけど、いかにウケる作品をつくるかということが、クリエーターのファンサービスならば、自分でつくりたいという支持にできるだけ応えるのが、ライセンスを管理する立場でのファンサービスかなと思っています。

 だから、ガレージキットに関しては、もう極力OKする。他商品との競合なんてことは、なるべく言わない。しかしガレージキットであっても、ビジネスとして出すものには、今度はそれを買ったユーザーさんの満足がいくように考える必要が出てきますから、商品の仕上がりや、ポーズ、組み立てやすさや価格についてでも、こちらからサゼッションさせていただくこともあります。

――数百人の規模ではじまったコミケが、数千人、数万人となり、今では世界有数のビッグなイベントになりました。それにともない、ファン活動も市場として認知されるようになってきたと思います。今後も、こうした活動は、グレーゾーンのままで続くと思われますか?

 僕の個人的な意見ですが、同人誌に関してはこれはグレーというよりもむしろ、版権元とは独立した活動だと思っています。だから、その内容や活動に関して、責任の所在はやっている方々にある。

 しかし、なぜその活動を我々が見ないことにしているかというと、まずそれが「ファン活動」であるからで、ファン活動はどうぞやってくださいと。こちらは干渉しません。気持ちの上ではむしろ応援したい。しかし、ファン活動ではなく、キャラクターを使ったビジネスがそこで行われていると認められるようになったら、それはちょっと違う動きをせざるを得ないかなとは思っています。

 著作権ホルダー側としては、それが利益を生むのであればこちらにも利益を、という権利が著作権のある側面なんですけども、もし利益が目的の活動という実態があまりにも見えてきたら、誰かが動く可能性はありますね。

――もしその線引きをしなくてはならなくなると、細かくならざるを得ないかもしれませんね。

 表現というものは、法律だとか契約とかで縛ろうとすることが難しいものであって、僕らも、もともとそういうものが苦手(笑)。判断基準は、僕らの魂に訴えるかどうか、みたいなところでやっちゃってます。でも、ね……。

――そもそも、バストトップから5%はOKみたいな基準をつくるのは、珍妙な話になりますね。

 そうなんですよ。たとえばあるフィギュアを、これは裸だからNGというと、反発がくるときがあるんです。「あれはOKなのに、なぜ」とか。でも、本当に好きでやってくれていて、「自分の中の綾波を研ぎ澄ましたらこの形になるんだ」というフィギュアと、商売でやっていて、これは裸だから売れる、首をすげかえたらほかのキャラクターとおんなじ、というようなフィギュアはやっぱり違う判断を出したくなるじゃないですか。

 しかし、その結論を第三者に納得してもらえるかというと、ちょっと無理な話でしょうね。だから僕はそういう意味で、ルールをつくるのは得意でもないし、やりたくないと思っています。特にアマチュア方面には。申し訳ないですけれど、「魂に届くかどうか」で判断していくしかない(笑)。

MouRa共同企画:おもしろさは誰のものか

 無劣化のデジタルコピーが容易になり、ネットを使って誰でも発信できる時代。企業も個人も創作・発表する中で、旧来の著作権の仕組みがひずみを起こし始めています。

 創作のあり方はどう変わるのか。今、求められる著作権の仕組みとは――著作権の現場から考える連載「おもしろさは誰のものか」を、講談社のオンラインマガジン「MouRa」の「ザ・ビッグバチェラーズニュース」と共同で展開していきます。

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